ベトナムビジネスならLAI VIENにお任せください!入国許可、労働許可証、法人設立、現地調査、工業団地紹介などあらゆる業務に対応します!お気軽にご相談ください!

ベトナムニュース【観光】ベトナムの旅行業界が抱える課題

(C) VNEXPRESS

旅行業界の企業数は戻りつつあるが、旅行業界は人材不足と旅行者不足という2つの問題によって、2022年の下半期に向けて大幅な回復を遂げることは難しいとみられている。

2022年3月15日に海外からの観光客の受け入れを再開して以降、ベトナムの旅行業界は徐々に回復の兆しを見せ、毎月の外国人旅行者数は、前月比で3桁増の勢いを続けた。2022年上半期にベトナムは60万2000人の外国人旅行者を受け入れた。これは2021年同時期と比べて582.2%の増加である。

2022年上半期の国内旅行者は述べ6080万人で観光収入は265兆VNDにのぼると推定されている。夏に向けて更に旅行業の収益は改善していく見込みだ。

COVID-19感染拡大によって行き詰まっていた旅行業界は、2022年上半期の旅行者の回復によって徐々に復活し、今年の上半期には2300社の宿泊業と飲食業が活動を再開し、前年同期から63.5%も増加した。また、統計総局のデータによると、旅行業界の新規企業設立件数も27.7%増加して.3000件を超えた。

しかしながら、旅行業界の回復は、どちらも人にまつわる2つの重要な問題を抱えている。それは、人材不足と海外からの旅行者の減少だ。

旅行業界の大きな問題の1つ目は人材不足だ。統計総局によると宿泊業と飲食業として新規登録された企業の登録労働者数は、2021年の同時期と比べて19.7%増加し、旅行業とサービス業は20.7%増加した。しかし、実際には宿泊業から旅行業まで、ほとんどの企業が十分な人数を確保できていない。

「人材不足は旅行業界全体の問題です。実際、私たちのグループでは、一人の社員が同時に複数の仕事をこなす必要が出ています。」とFleur De Lysホテルグループの営業マネージャーであるボー・ティ・ティエン・フーンさんは話す。

「最も人材が不足しているのは、フロントオフィス、ハウスキーピング、F&B部門です。昨年、一昨年と観光業界は非常に苦しい状況に追い込まれ多くの企業が、大量の従業員を解雇せざるを得ず、当社も例外ではありませんでした。」とタイ、ベトナム、カンボジア、ミャンマーのマリオットインターナショナルリゾートを管轄するヤコブ・ヘルゲン氏は話す。この企業は、ベトナムで不動産とリゾート施設を11か所経営している。

旅行業界で人材が不足している理由について、シークレット・コンダオホテルの支配人であるレ・ティ・ゴック・クーン氏は、パンデミックが2年以上続いたため、殆どのスタッフが外部に流出したと説明する。「彼らは既に安定した仕事を見つけており、旅行業に戻ってきてもらうことは非常に難しくなっています。」とクーン氏は話す。

ホーチミン市在住のファン・チョンさんもその一人だ。チョンさんは、ある旅行会社の欧米旅行者対応スタッフとして5年働いたが、会社が瀕死の状態になった昨年退職した。現在、チョンさんはコールセンターのグループリーダーとして月に1200万~1300万VNDの収入を得ている。「給料は前の会社とほぼ同じで仕事は少し大変ですが、安定した仕事なので、今のところ元の仕事に戻るつもりはありません。」とチョンさんは話す。

Adecco Vietnamの採用担当役員であるレ・グエン・ゴック・タイン氏は、旅行会社、レストラン、ホテルの求人需要は今年の第1四半期から増加しはじめ、第2四半期には更に顕著になったと話す。これは良いニュースだが、多くの企業は経験者の採用が出来ず100%活動を再開させることが出来ていない。

「旅行業界は、人材の量だけでなく、質が高く経験豊富なスタッフも不足しています。」とタイン氏は話す。活動が停滞した2年間、若いスタッフたちは業務経験を積む機会がほとんどなかった。

現在、旅行会社が国際業務経験が豊富で、外国語スキルが高く、情熱のあるスタッフを採用することは非常に難しい。COVID-19によって故郷に帰った人々は、生活費が高く給料がそれほど高くない都市部での生活に戻ることを躊躇している。

旅行業界の抱える2つ目の課題は、外国人観光客が依然として少ないことだ。2022年の外国人旅行者数は、COVID-19感染拡大前の2019年と比較すると依然として92.9%も減少している。2019年には、中国、韓国、日本、台湾からの旅行者が1810万人近くおり、全体の約66%を占めていた。中でも最も多かったのが中国からの580万人だった。しかし、中国がゼロコロナ政策をとっているため、2022年上半期の中国からの観光客数は3万5000人にも届いていない。

また、日本と台湾も特定の国からの帰国者に対して依然として隔離措置をとっているため、海外旅行に行こうという人はまだ少ない。かつてニャチャンやムイネーを訪れていた多くのロシア人観光客も、ウクライナとの紛争によって激減した。

「ロシアの紛争と中国のゼロコロナ政策によって、ベトナムの観光産業にとって大きなマーケットである2カ国の旅行者が激減し、ベトナムの観光業界の回復に深刻な影響を与えています。」とHSBCベトナムのゴー・ダン・コア部長は指摘する。

そのため、HSBCでは今年のベトナム観光業の回復スピードは予想よりも遅くなるとの見通しを示している。中国とロシアの旅行者が減少したことに加えて、COVID-19が依然として旅行者が海外旅行へ行くことを躊躇させている。また、世界的な物価上昇が、海外旅行支出に影響を与えた場合、観光業の困難はさらに増大する。

観光局によると、現在の状況の打開策は、韓国、日本、西ヨーロッパ、オーストラリア、ASEANなど飛行機の往来が回復した市場をうまく開拓することにある。また、それと共に、インド、アメリカ、中東などの新しい市場を開拓する必要もある。旅行業界は、外国人観光客が伸びないという危機にさらされているが、この機会に人材を採用し十分な教育をおこなうチャンスでもある。

レ・グエン・ゴック・タイン氏は、多くの企業の当面の解決策として退職者の再雇用を進めると同時に新卒やアルバイトの採用を進め、専門教育を進めることべきだと指摘する。

「長期的には企業は従業員の望んでいることを理解し、それに基づいて労働条件や報酬制度を見直す必要があるでしょう。もし、社内の福利厚生について多くのクレームが出るようなら、適切な条件に変更するために、他社の一般的な福利厚生について学ぶ必要があります。」

一部の企業は、依然として積極的に人材ハンティングをおこなっている。Fleur De Lysホテルグループのボー・ティ・ティエン・フーン氏は、中心的な役割を担う経験者を採用するためにより魅力的な制度を導入する一方で、経験を積ませるために新しい人材も採用していると話す。シークレットコンダオホテルは、経験者と一緒に働いて経験を積ませるためにフレッシュな人材を求めている。

マリオットインターナショナルのヤコブ・ヘルゲン氏は、社員の業績評価に上限を設けないという方針に基づき、地方の優秀な人材の採用に関心を寄せている。ヘルゲン氏によると、仕事と生活とメンタルヘルスのバランスは今や従業員にとって重要なものとなっており、企業は社員の働き方を改革する必要がある。

採用される側のファン・チョンさんは、完全に前職のことを忘れたわけではないが、今はまだその時期ではないと考えている。

「戦争、疫病、自然災害などによって世界は依然として不安定な状況です。旅行業界に戻って、また転職することになるのはまっぴらです。私の前職の職場は、大規模なツアーを提供していましたが、現在まだ、海外からの訪問者は個人や小規模なグループしかなく、まだ仕事は多くありません。もし、旅行業界に戻るとしても、少なくともそれは今ではありません。」とチョンさんは話した。

出典:27/07/2022 VNEXPRESS
上記を参考に記事を翻訳・編集・制作