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ベトナムニュース【社会】ハノイの町内放送スピーカーは時代に合わない

(C) VNEXPRESS

多くの専門家は、都市部の市民は効果的に情報にアクセスできる多くの方法を持っており、いくら以前より改善されたとはいえ、町内放送スピーカーを維持したいとは考えていないと指摘する。

ハノイ市が各市町村の町内放送システムをアップグレードする計画を検討していることが市民の間で議論を呼んでいる。

ソーシャルメディアの専門家であるグエン・ゴック・ロン氏は、政府の情報伝達チャンネルの観点から、町内放送スピーカーには3つの利点があると説明する。
まず、市民にとって町内放送はコミュニティ内の全員が確実に情報を把握できるツールといえる。適用範囲についても、全ての市町村がスピーカーを設置すれば、大きな利点がある。使用方法についても、町内放送は簡便で公的機関が積極的に市民に情報を伝えるのに役立つ。

しかし、他の情報伝達方法と比較した場合、町内放送には多くの欠点も存在する。全ての町内放送のメリットは、SNSアプリ、メッセージ、emailなどでも代用可能だ。これらの通信技術は、騒音問題も発生せず、設備投資も低く抑えられ、運営コストもかからないうえ、最も重要なこととして、市民の嫌悪感を引き起こさないことだ。

人々への配慮が無い伝達ツールは、市民の反発を受けやすくなる。つまり、町内放送で情報が伝達されると、市民は情報を受取ったというよりも押し付けられたと感じるのだ。「情報の発信は一つのステップで、市民がどのような方法で情報を伝えられたいと思うかとは全く別の問題です。町内放送が行われた場合、多くの市民はうるさくて邪魔だと感じるのです。」とロン氏は話す。

ハノイの文化と歴史を研究する研究者の視点から、グエン・ゴック・ティエン氏も町内放送スピーカーは、現代のハノイには合わないと指摘する。スピーカーから流れる音声は、それほど役に立たない上に騒音公害を引き起こす。スピーカーの放送を聞いた市民は、特に興味のない情報をなぜ2回も聞かされなければならないのかと感じる。老人や子供のいる家庭では、突然の大音量の放送に驚かされることもある。

これまで、町内放送は、地域の高齢者や退職者など一部の小さなグループにしかサービスを提供できていなかった。伝えられる主な内容は、停電、断水、ワクチン接種についてだ。この程度の情報は、地域の掲示板に掲示すれば十分で、毎日2回もスピーカーから伝える必要はない。

ティエン氏によると、ハノイ市とその他の地方自治体は、コスト削減に力を入れている。しかし、各地域への町内放送スピーカーの設置は、コスト削減方針と矛盾する。「なぜなら、ハノイ市には既にスピーカに代わるもっと現代的で低コストな伝達ツールが既にあるのですから。」とティエン氏は話す。

ティエン氏は、町内放送スピーカーは、火災や伝染病などの突発的な緊急事態においてのみ情報伝達手段として使用すべきだと提案する。日常の情報は、住宅街の公共の場所に掲示するだけで充分である。この方法であれば、住民は自主的に情報を得ることができ、誰にも迷惑をかける心配がない。

国会の文化教育委員会の常任委員であるブイ・ホアイ・ソン氏は、COVID-19が感染拡大した時期に町内放送スピーカーはその役割を果たしたとした上で、「しかし、ある時期に役立ったからと言って、それがいつでも役立つということではありません。特にハノイ市においては、そう言えるでしょう。」と述べた。物理的な設備や通信インフラが十分ではない僻地であれば、町内放送スピーカーは、非常に役立つ。しかし、ハノイのように騒音公害の発生している大都市においては町内放送スピーカーは、慎重に検討する必要がある。

各自治体は、地域の放送スピーカーをアップグレードする前に、社会に対する影響を調査して評価する必要がある。スピーカーの使用を継続するか停止するかについては、自治体は市民の要望および、他の様々な通信手段と効果を比較したうえで決定する必要がある。情報発信システムは、どこで、誰に、何を、どのように伝えるかを具体的に検討する必要がある。「もし町内放送スピーカーを維持するのであれば、過去の課題を克服した以前とは異なる形にすべきです。」とソン氏は話す。

町内放送スピーカーがその効果を充分に発揮し、かつ悪影響を最小限に抑える方法について、グエン・ゴック・ロン氏は、音量、放送時間、放送内容、表現方法は、時代に合った形に調整すべきだと提案する。そして、最も重要なのは放送を聞く人を尊重する態度だと付け加えた。
「何十年も前と同じような機械的でステレオタイプの放送を2022年に実施するのはナンセンスです。放送内容は多くの市民にとって有益な情報とし、一部の対象者のために無関係の数千人の市民に聴取を強制するようなことをしてはいけません。」とロン氏は話す。

放送側の観点からジャーナリズム学院でアナウンス部の講師を務めるグエン・バン・チューン博士は、現在、町内放送でアナウンスを担当するのは、殆どが役所の職員で、アナウンスの講習を受けたことが無く、報酬も非常に低いと指摘する。

「現在のような人員体制が維持される場合、放送の独創性と熱意を発揮することは非常に困難です。現在、多くの地方で放送業務は、片手間で行われており、質の高いものではありません。」とチューン氏は話し、アナウンス担当者の育成と報酬レベルの引き上げを検討すべきだと提案した。

さらに、チューン氏は、規定に反した放送行為を修正するために、ハノイ市が各町村の放送活動を管理し定期的に検査する機関を設立すべきだと提案する。この機関は、市民からの放送に対するクレームも受け付けるようにする。

スピーカーの配置については、より高い場所に設置し、一般の住宅から一定の距離をあける必要がある。これによって、スピーカーに遠い家の人が放送が聞こえない一方で、スピーカーに近い家の人が騒音に悩まされるという状況を避けることが出来る。

出典:30/07/2022 VNEXPRESS
上記を参考に記事を翻訳・編集・制作