ACC会計事務所でDXコンサルタントを務めます富田英太と申します。会計事務所という専門的な視点から皆様にアドバイスができれば幸いです。
ベトナムで事業を営む多くの日系企業にとって、会計と労務は切っても切り離せない関係にあります。特に、給与計算は単なる労務管理ではなく、税務や会計に直接影響する重要な業務です。
しかし、多くの企業がExcelや手作業で給与を計算し、その数字を会計システムに手入力しているのが現状ではないでしょうか……そしてこの手作業が、実は見えないところで経理業務のボトルネックになっていることをご存知でしょうか?
月末や月初になると、経理担当者は勤怠データを集計し、複雑な社会保険料や個人所得税を計算し、給与明細を作成し、さらにそのデータを会計システムに入力するという煩雑な作業に追われます。この一連の作業は計算ミスや入力ミスを誘発しやすく、手作業が故にリアルタイムな経営状況の把握を妨げています。
私たちは長年、ベトナムの日系企業様の会計・税務をサポートして参りました。その中で、多くの企業様が「給与計算が大変」や「経理業務が煩雑」という悩みを抱えていることを肌で感じています。
そこで本コラムでは、この「労務の壁」をいかに乗り越え、企業の経営効率を向上させるかについて、全6回にわたって解説していきます。
次回のテーマは「その残業代、本当に正確ですか?ベトナム労働法規と給与計算の落とし穴」です。複雑なベトナムの給与計算について、会計事務所の視点から深く掘り下げていきます。