ベトナム経済が急減速とのニュースをよく目にするようになった。具体的には、2023年1~3月期の国内総生産(GDP)が市場予想を大きく下回って前年同期比3.32%。背景には不動産市況を巡るベトナム特有の事情もあり、マクロ市況の動きからミクロ視点の景況感を探ってみたい。
インテージベトナムの月例消費者信頼指数の消費変動(5段階1.0~5.0、基準値3.0)について、2022年6月~2023年5月の1年の分析をした。
消費変動スコアは全体的に緩やかに下降傾向(3.59)だが、1年の差は-0.07のみ。一方で、各消費項目で分析すると傾向が顕著であった。下降トップ3は①交通費(3.73)の-0.33、②ファッション費(3.56)の-0.21、③コミュニケーション費(3.47)の-0.2。急上昇したのは教育費(3.61)の+0.17だ。
都市比較をするとハノイ(3.66)が-0.18と下降傾向で、下降トップ3項目は①交通費(3.81)の-0.52、②投資費(3.63)の-0.42、③ファッション費(3.62)の-0.36。ホーチミン市(3.53)は+0.04と微増でそこまでの変動は見られない。なお、基準値が3.0なのでどの消費項目も消費力は高いと言えよう。
内需で活発なホーチミン市を中心に消費力は落ちていないように見て取れる。ただし、スポーツ関連の教育ビジネスに携わっている会社にヒアリングすると、習い事などの入会者は増えているが、交通費(渡航費等)が必要な大きなイベントへの参加人数は極端に下がっているとのこと。
つまり、教育に関しては引き続きお金を費やしているが、イベント関連の費用は抑えるという二極化が進んでいる状況に感じ取れる。