ベトナムビジネスならLAI VIENにお任せください!入国許可、労働許可証、法人設立、現地調査、工業団地紹介などあらゆる業務に対応します!お気軽にご相談ください!

【国際】米越ハイレベル訪問の舞台裏

(C) VNEXPRESS

歴代の駐米ベトナム大使によれば、過去10年の米越ハイレベル訪問は長年の準備の成果であり、両国の関係改善に貢献してきた。

安全保障、経済から文化に至るまであらゆる分野における強力かつ実質的な発展に加え、ベトナムとアメリカの関係も両国首脳による歴史的な訪問によって”変身”を遂げた。2013年7月のチューン・タン・サン国家主席によるアメリカ訪問は、両国関係を包括的パートナーシップに格上げすることを決定づける大きな出来事だった。

「当時、両国政府内ではまだ関係格上げについての合意が出来ておらず、その準備作業には多くの処理しなければならない複雑な問題が残されていました」と2011年から2014年まで在米ベトナム大使を務めたグエン・クオック・クーン氏は話す。

2023年7月23日、チューン・タン・サン国家主席と政府代表団は、オバマ大統領の招待に応じて、ハノイから3日間のアメリカ訪問に出発した。

これは、国交正常化から18年目で2回目となるベトナム国家主席によるアメリカ訪問だった。最初の訪問は、ジョージ・W・ブッシュ大統領時代の2007年6月に当時のグエン・ミン・チェット国家主席によっておこなわれた。

チューン・タン・サン国家主席を空港で出迎え、ワシントンでの数々のイベントに同席したグエン・クオック・クーン駐米大使は、サン国家主席が足を引きずっており、車の乗り降りに苦労していることに気づいた。するとサン国家主席はクーン大使にベトナム戦争当時に捕虜となり拷問を受けて足を負傷したことを話してくれた。

捕虜となったサン国家主席が口を割らなかったので、業を煮やしたアメリカ人顧問がサン国家主席の足を蹴り上げて骨折させた。戦争が終わって何十年経ってもサン国家主席は、季節の変わり目にはいつも足が痛む。

「私は黙って聞いていましたが、後日この話をオバマ大統領の補佐官に伝えました。そのとき私はベトナムの指導者の中にはチューン・タン・サン国家主席と同じように戦争に参加して負傷した人が多数いることも付け加えて話しました。ある人は、いまだに体の中にアメリカ軍の銃弾が残っており、ある人は戦争中に妻や子供、親族を亡くしています。それでもベトナムの指導者たちは過去を忘れることに同意し、意見の相違を乗り越えて未来に向かうためにアメリカとの関係を改善する歴史的な機会に臨んでいるのです」とクーン氏は話す。

オバマ大統領の補佐官はクーン大使の意見に同意し、このことをオバマ大統領に伝えてもよいか訪ねてきた。「それはサン国家主席が決めることですが、この話を通じてアメリカ大統領はベトナム政府首脳のビジョンと決意と共にベトナム国民の寛容さと利他主義の伝統をはっきりと理解することが出来るでしょう」とクーン大使は述べた。

ベトナムとアメリカが内部合意に達し、両国関係を包括的パートナーシップに格上げすることを決定したとき、アメリカ政府側は、オバマ大統領とサン国家主席の会談後に両国がこの歴史的な事実を簡潔にプレスリリースすることを提案してきた。

しかし、ベトナム側はチューン・タン・サン国家主席のアメリカ訪問と両国関係の格上げは、非常に重要な出来事であり、両国で包括的パートナーシップの原則や内容を細かくまとめた詳細な共同声明を発表するべきだと主張した。

「ベトナム側は自主的に共同声明草案を作成してアメリカに提示しました。アメリカ側との交渉後、両国はベトナムの要望を受け入れて基本的な内容を盛り込んだ3~4ページの共同声明を発表することで合意しました」とクーン氏は話す。

両国の包括的パートナーシップ締結に関する共同声明で、両国は初めてお互いの独立、主権、領土一体性、政治制度を尊重するという関係原則を明確に定義した。

オバマ元大統領の時代から現在に至るまで歴代のアメリカ大統領は、強く、独立し、自立し、繁栄しているベトナムを支援するというアメリカの姿勢を繰り返し確認してきた。

チューン・タン・サン国家主席のアメリカ訪問から2年後、グエン・フー・チョン書記長のアメリカ訪問によって、ベトナムとアメリカの関係は新たな歴史の節目を迎えた。

(C) VNEXPRESS

「ベトナムの党書記長がアメリカを訪問したのはこの時が初めてです」と2014年から2018年まで駐米ベトナム大使を務めたファン・クアン・ビン氏は話す。

ビン氏は、2012年にヒラリー・クリントン国務長官がベトナムを訪問した際に、チョン書記長をアメリカに招待したと話す。しかし、両国の政治体制は大きく異なっており、解決すべき問題が数多く残されていたため、2015年になってようやくこの特別な訪問が実現した。

「2015年は両国の関係樹立20周年でした。このチョン書記長による訪問は両国にとって実質的かつ象徴的な極めて重要なものになりました」とビン氏は語る。

2015年2月中旬にジョン・ケリー国務長官はファン・ビン・ミン副首相兼外務大臣と電話会談をおこなった。通常の会談に加えて、ケリー氏はオバマ大統領の代理として、正式にグエン・フー・チョン書記長をアメリカに招待した。

ビン氏によればアメリカ側は5月上旬になって、7月7日にグエン・フー・チョン書記長がホワイトハウスでオバマ大統領と会談することで両国が合意したと発表した。「これは公式訪問の発表時期としては極めて異例なほど早く行われました」とビン氏は話す。

当初の計画では、オバマ大統領はグエン・フー・チョン書記長を大統領執務室で出迎え、報道陣へ公開する最初の15分を含め60分の会談をおこなう予定だった。しかし実際の会談は90分近く行われ、そのうち二人だけの会談は75分にも及んだ。これは、この会談で多くの興味深い問題が話し合われたことを意味している。

会談後の声明では、今回のベトナム共産党書記長によるアメリカ訪問が”歴史的な訪問”であるとされた。「これは、両国がお互いの政治制度に敬意を表し、両国の関係が歴史的なものであることを象徴しています。」とビン氏は述べた。

ファン・クアン・ビン大使の任期中には2人のアメリカ大統領によるベトナム訪問が実現した。2016年5月にはオバマ大統領がベトナムを公式訪問し、ベトナム首脳と会談した。

「この訪問は、両国の包括的パートナーシップを強調するとともにアメリカがベトナムのアジアとアジア太平洋地域における地政学的役割と貢献を非常に重視していることを確認するものでした」とビン氏は話す。さらに、オバマ大統領はベトナムへの武器禁輸措置解除を決定し、両国間に最後に残されていた障壁を取り除いた。

その半年後、ドナルド・トランプ大統領が誕生した。

ビン氏によれば、トランプ大統領の誕生によってアメリカとの関係性に変化が起きるのではないかとベトナム側は懸念していた。2016年12月、グエン・スアン・フック首相は、大統領就任直前のトランプ氏とオープン且つ誠実な電話会談をおこなった。これによって2017年5月のベトナム首相によるワシントン訪問に向けた機運が醸成され、フック首相は、トランプ大統領の任期中に東南アジアで最初にアメリカを訪問した首相となった。

「この努力の成果によりベトナムとアメリカの関係性は壊れることなく継続的に発展し続けました」とビン氏は話す。

2017年11月、トランプ大統領は、任期の初年度にダナン市で開かれたAPEC首脳会議に出席するため、ベトナムを公式訪問した。

ハノイを訪れたトランプ大統領は演説の中で、「過去20年以上にわたって両国は共通の利益に基づき共通の目標を定めて連携してきました。その重要な絆こそ、今日我々がここで再確認したものです」と述べた。

(C) VNEXPRESS

ファン・クアン・ビン大使は、10年間にわたるベトナムとアメリカの包括的パートナーシップについて、「あらゆる分野で最も強力かつ実質的な発展が進められた時期だった」と評価している。一方で、グエン・クオック、クーン大使は、両国関係は今後、質も量も更に深化するとの見通しを述べた。

出典:07/09/2023 VNEXPRESS
上記を参考に記事を翻訳・編集・制作