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【社会】ベトナムの放置バイク問題

(C) VNEXPRESS

ホーチミン市内のバスターミナルや空港には長年にわたり誰も引き取りに来ないバイクが数千台放置されており、駐車スペースがふさがるのはもとより、処分にも時間がかかり手続きも煩雑で問題となっている。

ホーチミン市ビンタン区のミエンタイバスターミナルの駐輪場の隠れた隅の方には、長年引き取り手がなく放置されたバイクが積み上げられている。フレームが錆びたり、シートが腐っているバイクもあれば、まだ新しいが長期間放置されて埃をかぶっているバイクもある。

ミエンタイバスターミナルによれば、放置されているバイクは約730台あり、その多くが11年以上前の2012年以降から放置されている。現在、ミエンタイバスターミナルには、2か所の駐輪場があり、2000台以上のバイクを駐輪できるが、その約1/3を放置バイクが占めている。

ミエンタイバスターミナル管理局は、放置バイク問題を解決するために仮設の収用場所を建設し、高さ3m以上にまでバイクが無造作に積み上げられている。ミエンタイバスターミナル側はビンタン区警察に要請して放置バイクの登録番号を確認し、持ち主にバイクを引き取りに来るよう告知を掲載したが、効果はなかった。

ミエンタイバスターミナル管理会社のレ・ホアン・ソン営業部長は、大量の放置バイクが存在するが、管理会社が勝手に処分することはできす、現状を維持するしかないと話す。警察もこれらの車両を行政違反で押収されたバイクと同じように回収したり競売に出すことは認められていない。「管理会社には放置バイクに対応する能力が無く、火災が起きないように維持管理するコストだけ負担させられています」とソン氏は話す。

一方でホーチミン市ビンタイン区にあるミエンドンバスターミナル管理会社のドー・フー・ダット副社長は、約300台バイクが長年ミエンドンバスターミナルに放置されていると話す。ミエンドンバスターミナルの駐輪スペースは年々負荷が高まっており、特にテトや祝日には駐輪需要が高まるため、放置バイクは頭の痛い問題となっている。

ダット副社長によれば、利用客の駐輪した時間に基づいて、期限を過ぎたバイクの台数が計算され、システムの情報が更新されて期限を過ぎたバイクがバスターミナル内の別の場所に移動させられる。火災を防ぐために、移動されたバイクからはガソリンが抜かれ、電源が遮断される。管理会社は、期限を過ぎたバイクのナンバープレート、車体番号を記録して管理し、持ち主が引き取りに来たときに簡単に返却できるようにしている。

「乾季には火災などの事故が起きないようにスタッフが定期的に水を撒き、点検と清掃をおこなっています」とダット副社長は話し、放置バイクの数が増えたことでスペースの問題だけでなく、維持管理コストも増加していると付け加えた。

ダット副社長は、具体的な法令の規則が無いため、管理会社はこの問題に対処するのに苦労していると指摘する。これまでバスターミナル管理会社は何度も関連機関や地元警察に支援を要請し、放置バイクの情報を新聞などで告知したが、保管費用をバスターミナルが一部負担すると伝えても引き取りに来る人は非常に少ない。

「放置されたバイクの殆どは損傷しており、駐輪代金とバイクの修理代金を合わせると新車を購入した方が安いので持ち主は取りに来ないのでしょう」とダット副社長は話し、それ以外にも盗難車や持ち主が亡くなっているといったケースもあるだろうと付け加えた。

ホーチミン市の空の玄関口であるタンソンニャット国際空港も状況は同じだ。国内線ターミナル前のTCP立体駐車場には放置されたバイクが1000台近くある。その殆どが放置されて5~7年は経過している。管理会社では事故を防止するために、毎月放置バイクの数量の確認と整理、片づけをおこなっている。

「駐輪場は状況を報告し、関係機関に対応を相談しているが、現在に至るまで有効な解決策は見つかっていません」とTCP立体駐車場運営事業部のグエン・アイン・トゥアン部長は話す。

(C) VNEXPRESS

バスターミナルや空港だけでなく、市内の一部の病院でも放置バイクの問題に直面している。例えば、トゥードゥック市立病院では、数十台のバイクが長年放置されているが、解決策は見つかっていない。

以前、放置バイク問題の解決方法についての質問への回答として、ホーチミン市財務局は、バスターミナルの駐輪場運営は民間の問題だとしてバスターミナル運営会社に対して、駐輪場の利用に関する規則と契約に基づいて処理するように提案した。しかし、実際には、バイクの持ち主が特定できないため、この方法での解決は非常に難しい。

ホーチミン市弁護士会のトー・チュック・ラム弁護士によれば、行政規定違反の車両は警察に一時的に保管され、期限が過ぎれば公金とするため没収されて競売にかけられる。しかし、空港やバスターミナルに放置されたバイクは、持ち主と駐車場運営会社との民間取引となるため、そう簡単には処分できない。

ラム氏は、放置バイクの処分方法について駐輪場運営会社には2つの選択肢があると話す。1つは、まず警察に車両の出所、合法性、所有者を確認するよう要請し、駐輪契約を解除し損害賠償を請求する訴訟を特定した持ち主に対して起こすというものだ。

「ただ、実際にはこの方法はあまり現実的ではありません。なぜなら駐輪場側が裁判所に対して、バイクの持ち主である被告を特定することが非常に難しいからです」とラム氏は話す

二つ目の選択肢は、警察が車体番号とエンジン番号をスキャンしてリストを作成して持ち主と出所を確認するために各地方の警察へ送付するというものだ。しかし、この方法だと持ち主が死亡していたり、レンタルバイクだったり、書類がそろっていなかったり、所有者が何回も変わっているなど、様々なケースに対応するのに非常に手間がかかる。

上記の問題を解決するために、ラム氏は駐輪場の保管期限を6ヶ月から1年に制限する規定を策定することを提案する。この期間を過ぎても持ち主が現れない場合、当局はこの車両を廃棄された財産と認定し、規定に従って処分できるようにするのだ。

ラム氏によれば、上記の規定の策定は紛争の解決に貢献し、駐輪場の負担を軽減し、火災などの危険を防ぐことにもつながる。また、この規定によって個人の利益のために他人の利益を害してはならないという所有者の責任に対する意識も高まると考えられる。

出典:15/09/2023 VNEXPRESS
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