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【経済】循環濾過水槽でウナギを養殖

(C) VNEXPRESS

ドンタップ省に住むレ・バン・コー氏(50歳)は、コストを削減しながら環境を保護し、日本への輸出基準を満たすために循環ろ過システムを採用してウナギ(cá chình)を養殖している。

コー氏はナマズの養殖で20年以上の経験がある。昨年末、日本のパートナーからの依頼を受けてコー氏はウナギの養殖事業に切り換えた。この種のウナギは多くの農家が池や生け簀で養殖をしているが、殆どが国内で消費されており価格もそこまで高くない。

コー氏には日本に留学している息子が2人おり、多くの親戚も日本に住んでいる。コー氏も何度も日本に行ったことがあり、日本でウナギの養殖場を見学した。コー氏は地元を流れるティエン川上流がこのウナギの養殖に適した条件を満たしていると考え、日本のパートナーに養殖技術をベトナムに移転して生産量を確保することを提案した。

「日本の冬はとても寒く、ウナギの養殖には暖房システムが必要です。しかし、ベトナムは年間を通じて気温が高く、ティエン川上流にはきれいな水が豊富に流れています」とコー氏は話す。

当初、コー氏は故郷のティエン川の近くに10基の生け簀を備えた800㎡の養殖場を建設し、ウナギの習性や循環ろ過システムの使用方法を学ぶために2万5000匹の稚魚を試験的に養殖した。生け簀の容量は20㎥で下に防水シートが貼られている。初期投資には45億VNDかかった。

コー氏の説明によれば、循環ろ過プロセスでは、水は沈殿タンクを通してティエン川から取水され、物理的ろ過、微生物処理、酸素供給されてから養殖用の水槽に入れられる。このプロセスには全部で3日間が必要となる。生け簀の水は毎日システム内を循環して不純物や有害物が除去され、新しい酸素が供給される。システムでは1時間ごとに20㎥の生け簀の処理が完了する。

「蒸発や不純物によって失われる水の量は1日で全体の4%なのでその分の水を新たに補充するだけで、あとの96%は再利用します。これによって外部への排水が抑えられ水を節約し、環境を守ることが出来ます」とコー氏は説明し、排水にはたんぱく質が豊富に含まれているので、再処理して水耕栽培用に利用していると付け加えた。

計画上のプロセスは上記の通りだが、実際にやってみると多くの課題に直面したとコー氏は話す。生け簀に稚魚を入れてから1ヶ月の間に稚魚たちは頭を浮かせて徐々に死んでいった。コー氏が検査してみたところ稚魚のえらに細菌がついており、急速に蔓延していることが分かった。「稚魚は1匹2万VNDで購入しました。生け簀の中で死に続け、毎日数千万ドンの損失が発生しました」とコー氏は振り返る。

天候、水質、魚の種が異なるベトナムで日本と100%同じ環境を作ることはできないため、コー氏は当初から様々な課題が出てくることを予想していた。コー氏と水産養殖技師は原因究明を続け、酸素濃度を上げたり、養殖プロセスを変更するなど徐々に問題点と解決方法を学んでいった。開始から6か月近く経って、稚魚が順調に成長するようになったことを見てチーム全員が満足した。

1年近くウナギを養殖した後、コー氏はこの種は摂氏28~30℃の環境に適していることに気付いた。ウナギを1kg成長させるのに平均して1.5㎏の餌(14万4000VND/kg)が必要になる。養殖プロセスでは、水源の水質検査から養殖中の水の酸素溶解度まで、様々な指標の厳密な検査が必要になる。循環システムの中で養殖されているので、小さなミスでも全ての生け簀に問題が拡大し、重大な損失につながる可能性があるのだ。

最初の稚魚のサイズによって養殖期間は3~12ヶ月で出荷できるようになる。日本側は、脂ののった1匹250~300gのサイズを注文してきた。先日、日本側のパートナーがコー氏の養殖現場を訪問し、ウナギのかば焼きを試食して、味が良いと評価した。日本側は、正式な発注の前にもう一度現場の視察をすると約束した。

ここに至ってコー氏は、ようやく少し安心した。コー氏は、最初の出荷が上手くいば、生け簀を100基に増やし、年間100トンの生産を目指したいとしている。現在、販売価格は日本側と交渉中のため売上高の予想はまだ明らかにされていないが、これがメコン川流域の新たな持続可能な方向性を切り開くものと期待されている。

ドンタップ省党委員会のレ・クオック・フォン書記は、コー氏の養殖現場を訪問した後で、厳格な養殖プロセスを備えた新しいビジネスモデルは、日本の輸入条件を満たし、この地域の利点を生かした新たな方向性を示すものだと評価した。

「コーさんは、養殖における自身の経験を活かし、市場とパートナーを徹底的に研究し、最適な技術を適用しており、これが新たな成功モデルの教訓になるでしょう」とフォン書記は述べ、このモデルの成功は省の専門農家啓発キャンペーンの効果を実証するものだと評価した。

ウナギは淡水に生息しているが成長すると繁殖のために海に移動する。この魚は夜行性で光を嫌い、川の中の深い穴に生息している。日本では、うな重と呼ばれるご飯にウナギの蒲焼を乗せた料理が非常に人気が高い。

出典:2024/10/11 VNEXPRESS提供
上記記事を許可を得て翻訳・編集して掲載