ベトナムビジネスならLAI VIENにお任せください!入国許可、労働許可証、法人設立、現地調査、工業団地紹介などあらゆる業務に対応します!お気軽にご相談ください!

【社会】オンラインカジノに嵌る技能実習生

(C) VNEXPRESS

日本にいる少なくない数のベトナム人技能実習生がオンラインカジノによって闇金融などからの借金を背負うことになり、脅迫によって帰国を余儀なくされたり、家族に送金を依頼せざるを得なくなっている。

フイさん(24歳)が常に周囲の人から借金をし、返済日を巡って懇願する姿を見て、同僚のベトナム人はベトナムにある送り出し機関に連絡した。この連絡を受けて、労働者の海外派遣事業をおこなっているEstrala社の社員であるグエン・トゥイ・ズンさんは、すぐにフイさんに連絡して様子を尋ねたが、フイさんは「何もありません」と話すだけだった。

フイさんはEstrala社によって日本に派遣され、3年近くにわたって機械加工会社で働いていた。フイさんは毎月20万円の給料を受け取っており、これは現在の為替レートで約3200万VNDに相当する。しかし、過去6か月にわたりフイさんのベトナムにいる家族は日本から一切の送金を受け取っていない。フイさんはその理由を円安なので両替を控えていると説明していた。

「もし、両替を控えているだけなら同僚からお金を借りる必要はないはず」とズンさんは疑問を感じた。時を同じくして、Estrala社には日本の工場側から最近フイさんの生産性が低下しており、仕事に集中できていないとの連絡が入った。何度も話し合いを重ねた結果、フイさんはオンラインカジノのアカウントに入金するために1億5000万VND以上を高利で借りていることを認めた。毎月の給料は、高利貸しによってほとんどが差し押さえられ、フイさんには最低限のお金しか残されていなかった。

フイさんは何とか借金を返済しようとしたが、金利があまりにも高すぎたため完済することが出来ずにいた。状況を把握したEstrala社の取締役会は、日本の工場側と直接交渉し、借金を返済できるようにするためフイさんの残業を増やせないか打診した。

実はフイさんのようなケースは、最近では珍しくない。Estrala社のグエン・テー・ダイ副社長によれば、最近オンラインゲームやオンラインカジノで使う金欲しさに借金を重ねるベトナム人労働者のケースが増えているそうだ。一度嵌ってしまうと抜け出すことは難しく、借金を重ねていくことになる。

「労働者の中には給料を使い果たしてしまうだけでなく、高金利の闇金融に手を出してしまう人もいます」とダイ副社長は話す。同社では、闇金融からの脅迫を受けて職場から逃げ出したり、帰国しようとしたケースが確認されている。あるケースでは、首にナイフを押し付けられている息子の写真が送られてきたので、子供の借金を肩代わりするために借金をして日本に送金しなければならなくなった家族もいた。

長年にわたり日本はベトナムの主要な労働輸出市場であった。各企業のデータによれば、2023年1月から9月までに海外へ働きに出たベトナム人労働者は11万1500人以上で、そのうち約半数となる5万5700人以上が日本へ働きに出ている。2023年中には7万5000人から8万人のベトナム人労働者が日本へ行き、2022年の6万8000人を上回ると予測されている。

『日本へ行く』のという自伝の著者であり、2万1000人以上のメンバーが登録している技能実習生コミュニティの管理人でもあるファン・ビエット・アイン氏も、オンラインカジノで借金を背負うことになった技能実習生のケースを数多く確認している。

アイン氏によれば、昔は休日に仲間達が集まってゲームに興じることが多かったが、2019年以降はオンラインでのゲームが主流となっていった。この理由としては、新型コロナの出現によって労働者が家で過ごす時間が増えたこととオンラインカジノサイトが爆発的に増加したことが挙げられる。

「日本に働きに行った多くの労働者が数億ドンを持ち帰る一方で、日本へ行った子供を取り戻すためにベトナムの家族が土地を売ったり借金を負ったりしなければならなくなるケースも珍しくなくなっています」とアイン氏は話す。最近あったケースでは、ある労働者から、労働契約が終了し帰国しなければならないが、2億ドンの借金があるので、マフィアに身分証明書を握られているというメッセージがコミュニティに投稿された。3年前に、家族は、子供を日本へ行かせるために1億5000万VNDを借りなければならなかったが、今度は子供を帰国させるためにさらに借金が必要になってしまった。

ファン・ビエット・アイン氏によれば、ギャンブルに嵌ると労働者はまず同僚や同郷の友人から借金するようになる。周囲への借金がこれ以上できなくなると、闇金に手を出す。借金したのが男性の場合は、借用書に署名させ、身分証明書や銀行のカードが取り上げられ、職場の住所とベトナムの家族の住所を教えなければならなくなる。女性の場合は、担保として猥褻な動画を撮影させる。金利は1日5%で、100円借りたら、毎日5円の利息が発生することになる。

「ギャンブルに嵌ると借金が増えれば増えるほど、より大きくかけて負けを取り戻したいと考えるようになりますが、それが返って損失を大きくしていくのです」とアイン氏は話す。その結果、借金に耐え切れなくなった労働者は借金取りから逃れてより収入の高い仕事に就こうと考えて職場から脱走する。しかし、アイン氏によれば一度借りてしまったら抜け出すことは非常に難しい。日本での借金であってもベトナムの家族のところにまで取り立てに来るからだ。

ギャンブルに嵌る労働者が増加していることを受けて、Estrala社の技能実習生管理部門は、最近になって労働者の賭博行為の早期把握と予防対策業務も担うようになっている。

「技能実習生のSNSアカウントが異常な兆候を示していることを発見した場合は、弊社のスタッフが積極的に介入します。まず最初にやることは、ベトナムにいる家族に電話して定期的に日本から送金が来ているかどうかを確認することです」とダイ副社長は話す。Estrala社では技能実習生が深刻なトラブルに巻き込まれないように、早期発見と防止に努めている。しかし、最も重要なことは、オンラインカジノやオンラインゲームが金銭の損失、借金、更には生命の危機につながる可能性があることを技能実習生に正しく理解してもらうことだ。

ダイ副社長によれば、技能実習生がオンラインカジノに嵌って借金を作り、職場から逃亡するケースが日本市場における新たな問題となっている。このような状況が拡大すれば、多くの技能実習生が借金を抱えて逃亡し、市場全体に影響を及ぼすことになりかねない。そのため、ベトナムの技能実習生送り出し機関は、このような問題が発生しないように状況を注意深く正確に把握していく必要がある。

(C) VNEXPRESS

技能実習生を日本に送り出しているHaindeco Saigonのボー・アイン・トゥアン社長は、技能実習生がオンラインカジノに誘惑されるリスクを抑えるために、ベトナムでの研修の時点からこの問題についての指導を実施している。技能実習生は、オンライン詐欺、オンラインカジノ、課金制のオンラインゲームなどについて正しい知識を教育される。

また、ベトナムでの研修期間中はいかなる形態のオンラインゲームも使用が禁止されており、違反した場合は家族に連絡がいく。オンラインカジノへの関心が高いとみなされた技能実習生候補者は、面接対象者から除外され、日本へ行く機会を失う。「このような方法は結果的には家族にとってもメリットがあります。日本に行くために費用を負担して、さらに日本から帰国させるために借金を払う必要がありませんから」とトゥアン社長は話す。

出典:06/11/2023 VNEXPRESS
上記を参考に記事を翻訳・編集・制作