ベトナムの60歳以上の人口は、現在約1420万人で2019年から280万人増加しており、2030年にはこれが1800万人まで増加すると予測されている。
1月6日に統計総局が公表した2024年の人口・家屋調査によって、ベトナムの高齢化が確実に進行していることが分かった。具体的には、60歳以上の人口が2019年と比べて1.25倍に増加しており、2014年と比べた場合は、470万人(1.5倍)も増加している。さらに高齢者の人口は2030年には、2024年から400万人近く増加すると予測されている。
15歳未満の人口に対する60歳以上の人口の割合を示すのが高齢化指数だ。ベトナムの高齢化指数は、過去10年で急速に増加しており、今後も増加傾向は続くとみられている。
メコンデルタ地方と紅河デルタ地方は、全国で最も高齢化指数が高い地域でそれぞれ76.8%と70.6%となっている。高齢化指数が最も低いのは中部高原地帯で、37.0%となっている。
人口ピラミッドの図では、右側が女性、左側が男性の人口を表している。ピラミッドの底辺(0~4歳と5~9歳の2本のグラフ)は、2019年と比較して2024年が短くなっており、5年間で出生率が低下していることが分かる。一方ピラミッドの頂点(80歳以上)のグラフは5年間で拡大している。
人口局通信・教育部の元部長であるマイ・スアン・フーン氏は、高齢化は、ベトナムだけでなく、世界中で問題視されているテーマの一つだと指摘する。ベトナムでは人口黄金期を迎えるとともに高齢化も急速に進んでおり、様々な問題が表面化しつつある。過去5年間出生率は低下し続けており、将来の労働力を確保するために代替出生率を維持することが課題となっている。さらに、急速な高齢化に伴い、社会保険制度の変革と高齢者に適した医療制度の開発が必要とされている。
「将来は、一人の子供が6人の高齢者を支えなければならなくなるでしょう」とフーン氏は分析し、現時点では一人っ子が両親と4人の祖父母に囲まれているが、大人になれば逆に兄弟のいない彼が6人の高齢者を支えなければならなくなると指摘した。これは、子供たちが将来直面するであろう多くの負担のうちの一つだ。
保健省人口局のレ・タイン・ズン局長は、高齢化社会は人口問題の課題の一つであり、経済成長、社会保障、労働、インフラ設計、医療分野などに影響を与えると分析する。さらに高齢化によって生産労働人口が減少し、職業構造が変化し、若年労働者の経済的負担が増大する。
ベトナム人の平均寿命は比較的長いが、健康状態は悪く平均14年間は病気を抱えながら生きている。高齢者は、高血圧、心臓病、糖尿病、認知症など生涯治療が必要な様々な非感染性疾患を患っているケースが珍しくない。高齢者の医療費は年々増加しており、医療保険と国家予算の圧力となっている。
高齢化社会に対応するため、保険分野では、少子化の解消に取り組み、高齢者に対する基礎保健サービスと健康診断・治療の提供体制を強化・改善する必要がある。これは、”若いときからの老後対策”の1つといえる。
出典:2025/01/09 VNEXPRESS提供
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