ホーチミン市が1400万人の「超都市」に──小売業界に巨大市場が出現
旧バリア・ブンタウ省と旧ビンズン省を吸収した新ホーチミン市は、人口1400万人規模の「超都市」へと変貌した。小売業界にとって、これは前例のない成長機会だと捉えられている。
7月11日に開かれた「ホーチミン市のサプライヤー・流通チェーン構築による発展可能性」座談会では、各企業が今後の展望と課題について意見を交わした。
小売業の再構築と新市場への挑戦
サイゴン・コープのレ・チューン・ソン副社長は、モダントレードが市場全体の約30%しか占めていないとしたうえで、「伝統的な商店や市場と共存する多様な流通チャネルが重要な役割を果たしている」と述べた。人口増による市場拡大に伴い、小売業界は販売戦略の見直しを迫られている。
セントラルリテール・ベトナムのポール・レ副会長は「都市人口が増えることで消費者数も増える。物流の整備が急務だ」と語った。現段階では、冷蔵倉庫や配送体制の不備がボトルネックとなっており、インフラ整備が進めば販売量も3〜4倍に拡大する余地があるという。
電子商取引と中小企業の課題
ベトナムは現在、東南アジア第3位のEC成長率を誇る。KIDOグループのチャン・クォック・バオ副社長は、「物流と技術を強化し、販売チャネルごとの役割を整理すれば、タイを超えて第2位になることも可能だ」と指摘した。
Shopeeベトナムのファン・マイン・ハー氏は、都市と地方のデジタル格差を指摘。「中小商店や個人事業者が電子商取引に参入するには、まずその利点を理解してもらう必要がある」と述べた。
MoMo(モモ)フィンテックの共同創業者グエン・バー・ジエップ氏は「デジタル化が遅れる最大の要因は“習慣”である」と分析する。多くの小規模事業者が依然として手作業で在庫や売上を管理しており、資金繰りや信用調査に支障をきたしているとして、MoMoでは、使いやすいツールと教育支援により、デジタル経済への橋渡しを目指すという。
超都市化がもたらす構造改革の機会
経済専門家であるホーチミン市経済大学のディン・コン・カイ副学長は「物流と小売業は依然として発展途上にあり、地方ごとのバラバラな開発がコスト高の一因となっている」と語った。そのうえで、今回の省統合により行政単位が整理されたことで、統一的なインフラ整備と商業ネットワークの構築が可能になると強調した。
カイ氏は「国・企業・教育機関が連携してこそ、持続可能な小売と物流の成長が実現する」と提言した。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
ベトナム進出支援LAI VIEN