EVへの移行に伴う「バッテリー廃棄問題」へ対応
ホーチミン市は、二輪車の電動化促進とともに、使用済みバッテリーの処理問題への対策として、欧州基準のバッテリーリサイクル施設を建設する計画を打ち出した。
7月下旬、ホーチミン市開発研究院(HIDS)は、ホーチミン市人民委員会に対し、40万台規模の二輪EV導入計画を正式に提案した。その中には、技術者育成やインフラ整備、バッテリー再利用の仕組みも盛り込まれている。
年間3,000トン規模のバッテリー再処理能力を計画
新たに建設予定のバッテリーリサイクル拠点では、年間最大3,000トンのバッテリー処理が可能で、リチウムやコバルトといった希少金属の95%回収を目指すとしている。この施設が必要条件を満たせば、政府の環境保護基金から融資などの支援も検討されている。
ベトナムにおける電池生産と国際連携
国内ではすでに、ハティン省に6,000億VND超(約34億円)の投資を受けた電動車用バッテリー工場が稼働している。世界的バッテリー再生企業Li-Cycleとの提携により、国内リサイクル網の将来的な展開も視野に入れている。
国際的な基準と持続可能なモデル構築を目指す
欧州連合では2027年以降、「バッテリーパスポート」制度の導入が予定されており、アメリカ・カリフォルニア州もメーカーに電池情報の開示を義務付けている。これと同様、ベトナムでも明確な回収・リサイクルルールの制定が急務とされている。
電動車バッテリーの「第2の人生」と再利用の重要性
専門機関の研究によると、リサイクルバッテリーの活用により新規資源の50%超を節約することが可能となり、CO₂排出量とエネルギー使用量も約70%削減できるとされる。これは経済的な利点に加え、気候変動対策としても国際的に注目される施策である。
ベトナムの未来需要と技術対応
世界銀行の予測によれば、2030年までに200万個のEVバッテリーと80万基の充電器が必要とされ、2040年にはその数が大幅に増加する見通しだ。ベトナムはASEAN諸国の中でも、バッテリー生産能力を有する希少な国の一つであり、持続可能なインフラ構築が鍵となる。
制度整備と国内外の投資促進が課題
科学技術省は、政府に対しEVバッテリーのリサイクル基準の策定と、各業界間でのデータ共有・品質評価の標準化を提案しており、国内外からの技術投資を呼び込む制度設計が今後の焦点となる。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
ベトナム進出支援LAI VIEN