都市開発ではなく制度設計の突破口に─ファン・ミン・チン首相が強調
「国際金融センターは都市や高層ビルではない」
2025年8月2日、ホーチミン市で開催された「国際金融センター設立に関する国会決議実施会議」にて、ファン・ミン・チン首相は次のように明言した。
「国際金融センターとは、特別な都市開発や高層ビル群ではなく、制度設計である」
首相はこの構想を、地理的に限定された範囲内で、独自の法律体系・専門的な運営機構・政策の実験空間を備える制度的ブレイクスルーだと定義づけた。
経済成長と国家競争力を高める鍵に
チン首相は本会議が、国際投資・人材・テクノロジーを呼び込む戦略的な分水嶺であると位置づけた。
「金融センターは資金の流れのみならず、人材・技術・文化・法制度・創造的思考を集約する場所だ」とチン首相は指摘し、制度改革を中心に、インフラ整備・人材育成・金融の自由と安全保障のバランスを確保するよう指示した。
ホーチミン市とダナン市が拠点に
ホーチミン市では、新都心トゥーティエム地区の中心に10ヘクタールの敷地を確保済み。建設までの暫定拠点はグエンフエ通り8番地に設ける予定だ。
一方、ダナン市では2万7,000平方メートルの22階建てビルが中心拠点として年内稼働を目指している。
2035年に世界上位75位入りを目指す
政府は2035年までに、世界の金融センターランキングで上位75位以内、アジア太平洋地域では25位以内を目標として掲げている。
ホーチミン市とダナン市の金融センターは、統一的な運営体制と都市ごとの強みを活かした戦略的なプロダクト設計を通じて、相互に補完しながら成長を図る。
外国為替・税制・フィンテックに特例措置
国会決議第222/2025号により、国際金融センターは以下の分野で特例的な制度・規制緩和が導入される:
- 外国為替、金融、銀行、資本市場の開発
- 税制、労働・滞在制度、土地・建設・環境政策
- フィンテックにおけるサンドボックス制度(試験的運用)
- 投資紛争の迅速解決
戦略的メリット:経済・国家安全保障の両輪に
ファン・ミン・チン首相は、国際金融センターがもたらす戦略的利益として以下の5点を強調した:
- 資金面:国際金融機関・投資家の誘致と国内資源の最適化
- サービス面:国際水準の金融・銀行エコシステムの整備
- 市場面:公正・透明・効率的な金融市場の確立
- 国家ブランド:国際的な影響力・信頼性の向上
- 経済安全保障:持続可能で自立的な経済基盤の構築
「これはベトナムにとって新しく、困難で、かつ前例のない挑戦だが、条件が揃うのを待つのではなく、実行しながら学び、進化することで成功を目指すべきだ」と述べた。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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