カンボジア市場は規模こそ大きくないが、需要が高まる局面ではベトナムの農産物や商品の価格形成に影響を与える存在である。
カンボジアがベトナム産鶏卵の“赤字脱却”を後押し
国内市場では過去2週間、鶏卵価格が急騰している。タイニン省やドンナイ省の多くの養鶏場では鶏卵の卸売価格が1個2,500〜3,000VNDまで上昇し、全国平均でも2,400VND前後まで上昇した。
この価格上昇は、2年間にわたり低価格に苦しんできた農家にとって朗報である。今年初めには供給過剰で生産コストを下回る価格となり、「鶏卵救済」キャンペーンまで行われていたのだ。
タイニン省フックタイン村の養鶏場経営者グエン・レ・ブー氏は、1日平均1万5,000個を販売し、1個あたり1,000ドンの利益を得ていると語った。「これほどの利益は久しくなかった」とし、過去の赤字続きからの回復を喜んだ。
価格高騰の主因はカンボジア需要
ヴィンタンダット食品のチュオン・チー・ティエン社長は、価格上昇は供給減少や大手企業の生産調整も一因だが、「最大の理由はカンボジア市場の需要増である」と指摘した。
以前、カンボジアは鶏卵需要の約7割をタイから輸入していたが、国境紛争による物流停滞でベトナム産に切り替えた結果、需給が逼迫し価格が急上昇したという。
CPベトナムのレ・スアン・フイ副社長も、中秋節前で塩漬けアヒル卵や菓子用鶏卵の需要が増していることに加え、カンボジア向け輸出が伸びていると説明した。
北部と南部で異なる価格動向
北部市場は南部より価格上昇が早く、幅も大きい。南部ではスーパーやコンビニが多く、価格契約が長期固定される傾向にあり、短期での値上げが難しいためである。
野菜や肥料も輸出拡大
ベトナム青果協会のグエン・バン・ムオイ副事務局長によると、従来カンボジアはベトナム産農産物の消費が少なかったが、過去2週間で動きが変化してきた。最近になってカンボジアの業者は、40トンのベトナム産ニンニクを購入しており、今後の取引増加を見据えてカンボジアから企業視察団も訪れているとのことだ。
カマウ石油化学肥料(PVCFC)は2015年からカンボジア市場に参入。地理的優位性を活かし短期間でシェアを拡大し、2025年1〜7月期には約8000億VNDの売上を計上した。PVCFCは今後も現地有力ディーラーとの提携や新製品投入で市場拡大を図る方針だ。
税関統計によれば、2025年1〜7月期のカンボジア向け輸出は野菜・果物が前年比57%増の1,670万USD、コーヒーが115%増の980万USD、輸送機器・部品が42%増の2,790万USD、電線・ケーブルが30%増の3,390万USDとなった。
タイ市場でも水産物需要が拡大
ベトナム水産加工輸出協会(VASEP)によれば、タイ市場でベトナム産のイカ・タコ類の需要が急増している。2025年上半期、イカ類の輸出額は3,250万USDで前年同期比35.6%増。このうち干物・焼き製品(スルメを含む)が3,024万USDと好調で、市場に定着している。
VASEPは、タイは技術的規制が少なく、ベトナム水産物にとって有望な市場であると分析。特に加工品や高付加価値商品の展開余地が大きいとし、複数のベトナム企業がシェア拡大に向けた取り組みを進めている。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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