ベトナムの財務省はこのほど、個人投資家が上場株を売却した際の利益に対して20%の所得税を課す案を撤回した。最新の個人所得税法改正案を法務省へ送付した際、現行の課税方法を維持する方針を示した。
現行方式を継続
これにより、上場株取引については従来どおり、取引ごとの譲渡額に対して0.1%の税率を適用する方式が続けられる。財務省によれば、実務上は取得価格や関連経費が不明確なケースが多く、売却額と購入額を同額と申告して課税を免れる事例も見られるため、現行方式を維持する判断に至ったという。
居住者・非居住者への適用区分
なお草案では、上場株とは異なり非上場会社の株式や出資持分の譲渡については、居住者に対しては従来通り譲渡益の20%を適用している。一方で、非居住者については取引ごとの譲渡額に対し0.1%を課すとされている。取得価格や費用が不明の場合は、居住者・非居住者を問わず一律で譲渡額の2%が課される。
過去の提案と制度の変遷
財務省は7月時点で、上場株売却益に対し20%の課税を提案していた。しかし、価格が特定できない場合は現行通り0.1%を適用する方針だった。
2007年に制定され2009年に施行された個人所得税法では、上場株取引課税に2種類の方法が存在していたが、その後の法改正で「譲渡額に対する0.1%」に統一されていた。
投資家の反発と専門家の指摘
現行制度では投資家が損失を出しても課税されるため、不満の声が以前からあった。専門家らは「利益が出た場合のみ課税すべき」と繰り返し提言している。
今回の「実際の利益に基づく課税」案は国際的な慣行に近いと評価される一方、20%という税率の高さが批判を招いた。
証券市場への参加率が依然として低い中、政府が資金流入を促進しようとしている状況で、過度な課税は投資家の参入意欲を削ぐとの懸念も広がっている。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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