イェンサー下水処理場の稼働を契機に支援を拡大
日本の国際協力機構(JICA)は、ハノイで相次ぐ豪雨による浸水被害や排水問題の改善に向け、引き続き支援を行う姿勢を示した。
10月8日、JICAベトナム事務所は、2024年後半から2025年前半にかけて完了したプロジェクトに関する記者会見を開催。その中で小林所は、9月に正式稼働した「イェンサー下水処理場」がベトナムの都市環境改善につながる大きな一歩となったと述べた。
イェンサー下水処理システムは、トーリック川、ルー川、新都市ハドン地区に沿って総延長約43kmの排水管網を整備する4つの工区で構成される。このうち約24kmは日本のシールド工法で建設された。
小林所長は「最近のハノイでは豪雨による深刻な冠水が発生している。イェンサー処理場周辺の排水管やトーリック川流域の整備が、被害軽減に寄与することを期待している」と語った。
JICAは今後、ホーチミン市やフエなど他地域でも排水処理プロジェクトを継続支援する予定。ただし、2025年度中に完了できるかは各自治体の進捗に左右されるという。
気候変動対策の一環としてSABOダムを支援
JICAは、洪水や土砂災害を防止するための「砂防ダム」の建設支援も行っている。ソンラー省で建設されたこのダムは、全国初の砂防構造物であり、流木や土砂をせき止めて洪水被害を軽減する仕組みだ。
JICAの支援を受けた成功事例を踏まえ、ベトナムの堤防管理・防災総局は今後、全国で100基の砂防ダム建設を計画している。
2045年の「高所得国」実現に向け、4分野で人材育成を強化
今後の協力方針について小林所長は、「JICAはベトナムの実際的なニーズに即した支援を一層強化していく」と述べ、ベトナム政府が2045年までに高所得国入りを目指して進める「4つの改革分野」を中心に支援を拡大すると明言した。
その4分野とは、下記の通り。
- 科学技術・イノベーション・デジタル転換
- 国際統合の促進
- 法制度の整備・施行
- 民間経済の発展
半導体・AI人材育成から民間企業支援まで幅広く展開
副代表の平岡久和氏によると、2025年度後半にはODAを通じて各分野の人材育成を重点的に支援する。
具体的には、越日大学やハノイ工科大学と連携し、半導体、チップ、人工知能(AI)分野の技術者育成を支援する計画だ。
また、国際統合分野では、空港・港湾・道路・鉄道・通関システムなどの整備支援を通じて、地域間および日本との多層的な連結性を高める。
法制度改革では、日本の法改正の成果や経験を共有し、現行の「2層行政モデル」に合わせた公務員人材の育成を進める。JICAは党中央組織委員会およびホーチミン国家政治学院と協力し、行政運営における日本の成功例・失敗例をベトナムが学ぶ機会を提供する。
中小企業支援や女性起業家の育成にも注力
民間経済分野では、ベトナム政府が最近発表した「民間経済発展に関する第68号決議」を高く評価した。JICAは、零細・中小企業や女性起業家を対象とした起業家育成、金融アクセス支援などを強化する方針を示した。
小林所長は「第68号決議のもとで、日本企業とベトナムの民間部門が連携し、共に発展できることを確信している。JICAは今後もベトナムの歩みに寄り添っていく」と述べた。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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