「100万VNDでどう生活できるのか」
個人所得税法における「扶養家族」の認定条件が時代に合っていないとして、市民や専門家から見直しを求める声が高まっている。現在、扶養家族として認められるのは「月収100万VND(約6000円)未満」の人のみであり、この基準は2009年の法律制定時から16年間一度も改定されていない。
16年間で個人所得税の控除額(減税控除額)は3度引き上げられたが、扶養認定の収入基準は据え置かれたままである。
ダナン市に住む退職者ハーさん(仮名)は毎月の年金が400万ドンで、子どもから生活費の支援を受けているが、「収入が100万ドンを超える」として扶養家族と見なされない。
「今の物価で100万VNDで生活できますか?年金があるといっても、生活するのがやっと。病気になれば結局子どもたちに頼るしかありません」と話す。
最低賃金や貧困ラインすら下回る基準
専門家や納税者からは、「100万VND」という基準は現実から乖離しているとの指摘が相次ぐ。この額は、現在の最低賃金(月345万~496万VND)どころか、貧困基準(月150万ドン以下/人)すら下回る。
ハノイ経営技術大学のグエン・ゴック・トゥ博士は次のように述べる。
「消費者物価指数(CPI)は過去16年で2倍以上、平均所得は2.5~3倍に上昇しています。単純計算でも、扶養認定基準は少なくとも350万ドン程度に引き上げる必要があります。2026年には扶養控除が620万ドンに上がる予定であり、これを基準にすべきです」。
■「副業収入200万VND」にも10%課税の不合理
さらに批判が集まるのが「臨時収入(副収入)200万ドン以上への10%源泉徴収」である。ホーチミン市在住のフー氏は記事執筆の副業をしているが、「少額の収入にも一律で10%の税が差し引かれる」と不満を述べる。
この制度は「徴税漏れを防ぐため」として設けられたが、現実には低所得者の負担を増やし、税務処理の煩雑化も招いている。
「200万VNDに対して10%の課税は実質的な過剰徴税です。800~1000万VND程度に引き上げるべきです」とトゥ博士は提言する。
■税務専門家も改正を求める
弁護士のチャン・ソア氏も同様の見解を示す。
「わずかな副収入でも課税・確定申告が必要となり、納税者も税務当局も負担が増している。これを放置すれば、国民の権利を損ねるだけでなく、国家も余分な行政コストを負担することになる」と語った。
専門家らは、扶養認定条件と副収入課税の基準が現状に合っておらず、法改正が急務であると強調している。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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