台風の海で漂流
2025年11月6日、台風カルマエギ(13号)の影響で荒れ狂う南シナ海で、リーソン島(クアンガイ省)の3人の漁師が行方不明となった。2日2晩、冷たい大海原を漂流し続けた末、奇跡的に救出された彼らの生還劇は、絶望の中でも決して海に屈しなかった人間の闘志を示している。
夜の闇に消えた仲間
11月8日午後、無事に岸に戻り一時的に健康を取り戻したファン・ズイ・クアンさん(47歳)は、依然として生還の実感が湧かない様子であった。
11月6日午後3時ごろ、トゥアン・タン・クオンさん(44歳)がリーソン港の桟橋から海に落ちたのを知ったクアンさんは、即座に仲間のレ・バン・サンさん(37歳)と共に小舟で救助に向かった。しかし、強風と高波に翻弄され、クオンさんを舟に引き上げたが、その後3人は離れ離れになった。「クオンは力尽きて夜の闇に消えていった。私とサンは必死に手を取り合ったが、夜半にはサンも力尽き、漂流の中に消えた」とクアンさんは振り返る。
生魚で生き延びる
海上で孤独になったクアンさんは、力尽きそうになりながらも決して諦めなかった。漂流中、小さな魚や海藻を手で掬って生で食べ、雨を口に集め、時には海水も飲んで生命をつなぎ続けた。意識を失えば死を意味する状況で、彼はわずかな希望にすがり、必死に生き延びた。
7隻目の船での救助
漂流2日目、遠方に貨物船の姿を確認したクアンさんは、全力で泳ぎ寄り、叫び声を上げて乗組員の注意を引いた。しかし波が高く、近くを訪れた6隻の船はいずれも彼を認識できずに通過していった。
ようやく7隻目、「ハイナム39号」の船員が彼を発見し、船に引き上げることに成功した。紫色に変色した体と疲労困憊の状態であったが、目は生き抜いた意志で輝いていた。
仲間の救出と島民の安堵
その後、サンさんとクオンさんも別の船により救助され、無事に陸に戻った。ニュースを聞いたリーソン島の住民たちは歓喜に湧き、2日間祈り続けた家族は涙ながらに再会を喜んだ。
クアンさんと仲間たちの物語は、荒波の中で人間が持つ生命力と不屈の精神の象徴として、島民に深い感動を与えた。
経験と奇跡が導いた生還
クアンさんは以前、ホアンさ諸島やチューンサー諸島での潜水漁に従事し、多くの台風と危険な海を経験してきた。だが今回ほど死の淵を身近に感じたことはなかった。それでも海は最終的に彼らを見捨てず、3人に島と家族のもとへ帰る奇跡を与えた。リーソン島の住民たちは、この出来事を「海の奇跡」と呼んでいる。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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