前回、当社実施のベトナム組織調査から、「働きがい」の必要性をお話しました。今回は、日系企業がベトナムで組織を経営する際に、注意すべき3つのポイントをお伝えします。
1つ目は、経営トップの「駐在期間の短さ」です。多くの経営トップは3年という短い任期で駐在しており、1年目は顕在課題への注力、2年目は残課題への対応、3年目は利益の創出に対応しています。その結果、マネジメント育成や品質改善などの中長期的な課題への対応が後手に回るケースが少なくありません。
2つ目は、ミドルの「マネジメント育成の難しさ」です。駐在員の異動があっても成長し続ける組織を作るためには、組織の上下左右をつなぐ管理職の育成が不可欠です。一方、現地マネジャーの多くは、自らのプレイヤーとしての成果に視野が留まり、マネジメントが後回しになる状況が見られます。
3つ目は、現場社員の「属人的な業務遂行」です。ベトナムでは社員が周囲との協働に慣れておらず、自分の仕事を囲い込む傾向があります。結果、一部のベテランに仕事が集中し、組織知やノウハウが組織の資産として蓄積されにくくなります。
こうした状況を改善するためには、経営による明確な意志のもと、腰を据えて組織作りに取り組むことが必要です。中長期の課題解決に向けた旗振りをしながら、現地マネジャーの育成、そして組織への貢献を促すエンゲージメントの向上を通じて、成果創出に向き合う風土作りが求められます。
次回は、ベトナム組織経営の落とし穴をさらに深くお伝えします。