夫が危篤状態陥り、このままでは死亡する可能性が高いという病院からの電話を受け取ったグエン・ティ・クエさん(27歳)は、大きなショックを受け、チョーライ病院のファンページに”夫を救ってください”というメッセージを送った。
クエさんの夫のチャン・バン・アンさんは28歳だ。クエさん一家は家族6人でハティン省からホーチミン市に引っ越してきて、働いていたが、残念ながら家族全員が陽性となってしまった。アンさんの症状が最も重く、高熱、喉の痛み、息切れ、倦怠感などの症状があり、7月24日にトゥードゥック市内の病院に搬送された。
アンさんが入院してから最初の数日間、夫婦は定期的に電話やメッセージでやり取りをしていた。7月29日にクエさんは夫と連絡が取れなくなった。毎日何十回も夫の番号に電話を掛けるが、ツーツーという絶望的な電子音が聞こえるだけだった。
「夫が最悪の状態になっていることを恐れて、極度の不安と恐怖の日々を過ごしました」とクエさんは当時の心境を振り返る。
それから約10日後、クエさんは病院から電話を受け、アンさんが気管挿管を受ける必要があり、病状は非常に危険で近いうちに亡くなる可能性があると言われた。クエさんは大変なショックを受けたが、彼女の家族と夜通しかけて、何とかしてアンさんの命を救うための連絡手段が無いかを考えた。
チョーライ病院がホーチミン市のCOVID-19患者治療の最後の砦であることを知ったクエさんは、少しでも医師の目に留まるようにと、彼女個人のアカウントに緊急メッセージを投稿し、チョーライ病院のファンページにメッセージを書き込んだ
「私と子供は夫を救うためにどうすればいいのかわかりません。連絡が取れなくなって10日後に心の張り裂けそうな悲痛な連絡を受けました。お医者様の先生方に何とかして私の夫をお救い頂くようにお願い致します」とクエさんは書き込んだ。
8月7日の午後、クエさんは病院からの『全力で頑張ります』という返信を受け取った。
その時、チョーライ病院では、上記のメッセージをチョーライ病院救急救命科の医師で、COVID-19救命病院の副院長でもあるチャン・タイン・リン医師のもとに転送していた。メッセージを受け取ったリン医師は、すぐに知り合いの医師に連絡してアンさんの容体を確認した。
提供された情報から、チョーライ病院の医師たちは、アンさんの容体は、COVID-19救命病院の受入れ基準に合致すると判断し、同時に安全に転院させられる可能性があると判断した。それによりCOVID-19救命病院は、アンさんを受け入れることを決定したとチョーライ病院救急救命科の医師でCOVID-19救命病院の治療チームに参加しているファン・ミン・フイ医師は説明してくれた。
8月7日の午後9時にアンさんは、昏睡状態で最高レベルの人工呼吸器を装着した重度の危篤患者としてCOVID-19救命病院の2A科に転送された。3日間の医師たちの懸命な治療により、患者は徐々に回復し、気管内挿管が外され、高流量酸素治療に移った。病院に転送されてから5日後、アンさんの容体はさらに安定し、回復病棟に移ることが出来た。
生死の境をさまよったアンさんは後に、「妻や医師の先生方、看護婦の皆様の懸命な努力によって、奇跡的に生き延びることができました」と語った。アンさんは最初に昏睡状態から目覚めた時、リン医師に妻に電話してもらうように頼んだそうだ。
クエさんは、その時のことを「見知らぬ電話番号から電話がかかってきて手が震えたのを覚えています。」と話した。クエさんは電話を取りながら、夫が死んだことを知らせる電話ではないかと不安になった。すると、電話の向こうから「妻よ。家で頑張ってくれたんだね。私はリン先生のお蔭で生き延びることが出来たよ。最近電話できなくて心配してただろう?」というアンさんの声が聞こえた。夫の声はまだ弱く、途切れがちではあったが、これでクエさんの不安は一気に吹き飛んだ。
8月17日にアンさんは高流量酸素治療が終わり、酸素マスクでの酸素吸入治療にまで改善した。
「上手くいけば、あと数日で酸素マスクを外し退院できるようになるでしょう。」とフイ医師はアンさんの容体について語った。
これより前にも、チョーライ病院では、ホーチミン市小児病院の同僚の医師たちの要請によって、COVID-19に感染し重篤な状態になった妊娠31週目の女性医師の命も救っている。このケースでは、産婦人科が緊急の帝王切開手術をする中で、同時に患者にはECMOが装着された。
無事に生まれた男の赤ちゃんは、現在ホーチミン市小児病院でケアを受けている。生まれた時は1.8㎏だったが、既に1.9㎏まで体重も増えた。健康状態は良好で、2回のPCR検査でも陰性結果が確認されている。母親の方もECMOの治療が功を奏し、健康状態は回復に向かっており、近いうちに退院して子供に会える予定だ。
出典:18/08/2021 VNEXPRESS
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