タイニン省のバーデン山に出現した奇妙な雲について専門家はレンズ雲現象だと説明する。
11月24日タイニン省のバーデン山の山頂付近の様子をとらえた画像がSNSで多くの注目を集めた。その画像では大きな円盤状の雲が山頂付近を覆っており、バックの青空とのコントラストが不思議な自然の様子を映し出している。
画像を投稿した地元に住むドー・ヴィン・クアンさんによると、この写真は出勤の際の朝6時ごろに撮影されたものだ。「バーデン山の頂上を覆った雲が独特で美しい形をしていたので、とても驚きました。」とクアンさんは話す。クアンさんによると同様の現象は、前日の17時ごろにも発生したが、これほどはっきりとした形状にはなっていなかったそうだ。
クアンさんによると山頂を雲が覆う現象は、比較的頻繁に発生している。「1,2年前にも山が帽子をかぶったような状態の写真を撮ったことがありますが、こんなに立派な形を見たのは初めてです。」とクアンさんは話す。
タイニン省に住むグエン・ディン・クイさん(25歳)も雨季や年末になるとこのような現象がみられると話す。クイさんは、8月にバーデン山の山頂を雲が覆う様子のビデオを共有した。クイさんはこの美しい自然現象が大好きだが、これが何という現象なのかは知らない。
ハノイ天文学会(HAS)によると、この現象はレンズ雲現象と呼ばれるものだ。これは、高い山の山頂にレンズのような形をした雲の塊が留まる現象を指す。通常、レンズ上の雲は風向きと平行な方向に形成され、高積雲、層積雲、巻積雲の3つのタイプに分かれる。
湿った空気が山頂付近を上昇する際に一定の空気の波が側面に形成されることがある。この波の温度が露点を下回ると水蒸気が凝縮してレンズ状の雲を形成する。
気流の波が下降するにつれて雲が蒸発し、独特の形状を形成する。ある特定の条件の下では、レンズ上の雲の長い鎖が数百㎞にわたって広がることもある。
HASの担当者によるとこの現象は世界的にはそれほど珍しいものではなく、日本の富士山やアメリカの一部の山など高い山で発生することが多いが、ベトナム南東部の屋根とも呼ばれる標高996mのバーデン山でこのようにはっきりとレンズ雲現象がみられることは、非常に興味深い。
ハノイ科学技術大学のファン・タイン・ヒエン博士は、レンズ雲現象は、湿度の高い風が山頂に向けて移動する際に発生すると説明した。
ヒエン博士によるとこの現象は気温に依存している。つまり気温が十分に低く充分な水分があれば、水分が凝縮して雲になる。「この現象はそれほど珍しいものではありませんが、それでも珍しい形をしているので、面白い現象と言えます。」とヒエン博士は話す。
出典:24/11/2022 VNEXPRESS
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