8月30日の混乱を経て、8月31日から配達員の活動が正式に再開された。しかし、配達員たちにとっては悩ましい状況が続いている。
8月30日、ビンタン区で配達員の仕事をしているティウさんは、管理会社からの正式な活動再開通知を待っていた。ホーチミン市が配達員のレッドゾーンでの活動再開を認めるとした後で、ティウさんは仕事の準備を始めた。しかし、繰り返し関連既定の変更を知らせるニュースが届き、ティウさんは徐々に不安になってきた。
現在、ティウさんにはっきりと分かっているのは、配達活動を希望する場合は、ワクチン接種を受けて商工局の配達許可リストに記載してもらい、簡易抗原検査を毎日受ける必要があるということだけだ。しかし、正式にいつから活動再開できるのかは、ティウさんをはじめとした配達員たちにも正確なことが判らなかった。
配達アプリドライバーのコミュニティでは、多くの配達員が常に実際の状況についてやり取りを交わしていた。「夜になっても正確にはいつから活動再開できるのかが誰にもわからず、活動のためにはどのようなルールを守りどのようなプロセスで進めるべきなのかもはっきりしませんでした。」とティウさんは話してくれた。
取材に対して、多くの配達業者は、配達再開プロセスを完了させるために当局と打ち合わせをおこなって具体的な手順を明確にさせる必要があったため、8月30日から配達で来たドライバーは、ほとんどいなかったと説明した。
GrabとBeは、レッドゾーンで活動するドライバーは毎日、グリーンゾーンで活動するドライバーは2日に1回簡易抗原検査を受ける必要があるとして、対象となるドライバーのリストを作成し政府当局に提出することで合意した。
「ドライバーの検査は8月31日から開始され当局から新しい通達が出るまで継続されます。」とGrabの担当者は説明し、8月31日からトゥードゥック市と7つの区と県のレッドゾーンでのGrabMartとGrabExpressの活動を再開すると発表した。残りの14の区と県のグリーンゾーンでの活動は引き続き維持される。Beも8月31日から活動を再開させる見込みだ。
ShopeeFoodでは、所属する6000人近い配達員がワクチン接種済みであるとして、現在、当局および配達員と綿密な調整をおこなっているとしているが、レッドゾーンでの活動再開時期は明らかにしていない。
Gojekは、簡易抗原検査結果の確認方法について当局の指示を待っていると説明した。
最新の要求されているプロセスでは、活動動条件を満たしている配達員のリストを商工局に提出する必要があるとされている。リストに記載された配達員は定期的にオンライン検索によってチェックを受ける。このリストに記載されている配達員は活動が許可されるが、活動範囲は同一の区、県内に限られる。
レッドゾーンに該当するトゥードゥック市、8区、12区、ゴーバップ区、ビンタン区、ビンタイン区、ビンチャン県、ホックモン県の8地域では、配達員は毎日朝5時から6時の間に3人一組で簡易抗原検査を受ける必要がある。その他の区や県では、配達員は2日に1回、3人一組の簡易抗原検査を受けなければならない。配達員は自分の担当するエリアにある移動式医療ステーションで検査を受ける。
しかし、配達員の活動が8月31日から許可されたとしても、まだ解決すべき問題が数多く残されている。ホーチミン市は、配達員の無料検査を今後1週間実施するとしているが、その後については、状況を見て検査方法を再検討するとしている。しかしGojekは、その後の検査費用の負担についての情報が無いと不安視している。企業側としては、検査費用が企業負担になった場合、サービス費用の値上げなどの対応を迫られる可能性があるが、今後の課題として残されたままだ。
ホーチミン市商工局のデータによると、8月28日までにホーチミン市内全域で1万7449人の配達員が1回目のワクチン接種を完了している。商工局の試算では、区を跨いだ移動が可能な場合、1人の配達員は平均1日20から25件の配達が可能だ。その場合2万5000人の配達員を動員すれば、1日あたり50万から65万世帯の買い物需要を満たせる計算になる。しかし、現在は同一区内での配達しか認められておらず、配達員の配達効率がどの程度あるかは明確ではない。
さらに、ワクチン接種を受けた約1万7500人の配達員のうち、何人が配達業務に戻ってくるかも大きな問題だ。Grab、Be、Shopeeとも新たな規制について、配達員たちがどのように反応しているかについてコメントしていない。一方で、ホーチミン市の配達員のSNSコミュニティでは、多くの配達員が、同僚に対して活動を再開しないように呼び掛けている。
トゥードゥック市で配達作業をしていたフーさんは、既に1か月以上仕事をしていない。フーさんによると、彼とその同僚たちは、配達作業を再開するとCOVID-19に感染するリスクがあることを非常に恐れていると話す。さらに配達員の多くは、検問所で理不尽な対応が発生していることを聞いており、安心して配達できないと感じている。
フーさんは更に、レッドゾーンでの毎日の簡易抗原検査に関する規定も多くの配達員の復帰の障害になっていると指摘する。「配達員が感染源になる可能性があることは理解しています。でも、こんなにいろいろな規制があってさらに毎日検査を受けるとなると、皆あまりやる気にはならないんです」とフーさんは話してくれた。
ある配達アプリ事業者は、配達員の間で『アプリを閉じる』動きが広がっていることを認め、その大きな原因として、これまでに配達員に関して多くの規定が出され、更に絶えず変更されていることで、配達員たちがやる気を失っていることがあると指摘する。
まず、配達員は家を出る前に会社の制服、腕章など身分を証明するために完全装備をおこなう必要がある。更に、毎朝仕事を始める前には朝から人が密集して感染リスクの高い移動式医療ステーションに行って検査を受けなければならない。その後、仕事中には各検問所で自分が配達作業であることを証明するために商工省のサイトに掲載されているリストを検索して提示し、医療申告をおこなう必要がある。
「ある意味で、今回の配達再開は、配達員にとって規制緩和ではなく厳格化であり、グリーンゾーンの配達員もこれまでのルールに加えて2日に1回検査を受けなければならくなりました。これは、配達員と管理企業双方にとって大きな負担です」と上述の配達アプリ事業者は述べた。
出典:30/08/2021 VNEXPRESS
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