ベトナム統計総局は、2019年の実質GDP成長率(推計値)を前年比7.0%と発表した。政府の目標値6.6~6.8%を上回り、前年に続いて7%台の高成長を維持した。消費者物価指数(基準値100)も2019年は常に上昇しており、2019年12月には116.45と2019年で最高値だった。2020年1月も117.86と高い数値が続いたが、2月は117.75と下降傾向が始まったように思われる。
インテージベトナムの調査によれば、消費者信頼感指数(基準値100)は既に落ち続けている。昨年比でみると、世帯景況感は2019年2月から2020年2月の1年間で102.61から95.67にダウン。同時期で個人景況感は104.73から96.04と低下した(同指数は95ポイントを下回ると「低迷」となる)。
昨年末からの大気汚染や水質汚染の深刻化や社会的なマイナス要因もあって、消費者信頼感指数は低下傾向であったが、加えて今年1月からの新型コロナウイルス感染の影響で、ますます悪化する懸念がある。3月には、「低迷」と定義される95ポイントを割る可能性も高くなってきている。
今後、景気に期待されるのは、来年のメトロ開通による「消費行動の変化」だ。再計算の結果、ベトナムの1人当たりGDPは3000USD(約32万円)に達し、フィリピンと同規模になった。公的債務に投資の余地が生まれることで、遅れ気味だった公共交通の整備が進む可能性がある。
これまで「モノ」よりもサービスなどの「コト」消費が旺盛だったベトナムで、モビリティの変化がもたらす消費関連市場の活発化を期待したい。