工業用地の需要増加に伴い、工業団地の価格が上昇している。
イギリス系不動産大手のサヴィルズ・ベトナムが公表したデータによると、2020年の工業団地の稼働率は、ベトナム南部では、ホーチミン市が88%、ドンナイ省が94%、ビンズン省が99%、ロンアン省が84%、バリア・ブンタウ省が79%となっている。一方北部でも、ハノイが90%、バクニン省が95%、フンイェン省が89%、ハイズン省が82%、ハイフォン市が73%となっており、非常に高い稼働率を示した。
サヴィルズ・ベトナムは「工業団地の稼働率は2018年以降、急激に上昇しており、一部の主要経済エリアでは、工業用地の供給が間に合っておらず、新しい工業団地の需要が高まっている」とコメントした。
サヴィルズ・ベトナムの工業用不動産部門責任者であるジョン・キャンベル氏は、工業用地、レンタル工場、倉庫などの需要が急増しており、主要都市に近い工業団地では価格が上昇していると指摘する。この状況は、縫製業や家具製造など付加価値の低い製造業にとっては、大きな負荷となる。
ジョン・キャンベル氏は、「工業団地に対する需要に応じて主要経済エリアに新たな工業団地を供給し、価格を安定させる必要があります。もし2018年からと同じペースで工業団地の価格が上昇し続けた場合、ベトナムの製造業は世界における価格競争力を失う可能性があります」と指摘する。
サヴィルズのデータによると、ベトナム北部の工業団地の平均土地購入価格はハノイが129 USD/㎡(13.1%増)、バクニン省が95 USD/㎡(9.2%増)、フンイェン省が83 USD/㎡(6.4%増)、ハイズン省が76USD/㎡(15.1%増)、ハイフォン市が96USD/㎡(3.2%増)と2019年と比べて軒並み上昇している。
この様に北部の工業団地の価格が上昇する中、近年はタインホア省の工業団地が注目を浴びている。タインホア省の工業団地の平均土地購入価格は40〜50USD/㎡で、他の主要エリアの工業団地と比べて競争力がある。タインホア省は2020年から海外投資が増加傾向にありFDIの登録額3億4900万USDは、ベトナム全土60の省と市の中で20位となっている。
ベトナム南部の工業団地の平均土地購入価格は、ホーチミン市が147USD/㎡、ビンズン省が107USD/㎡(4.9%増)、ドンナイ省が98USD/㎡(6.5%増)、ロンアン省が123USD/㎡(7.8%増)、バリア・ブンタウ省が65USD/㎡(18.1%増)となっており、北部よりさらに高い傾向にある。
サヴィルズ・ハノイのマシュウ・パウエル社長は、ベトナムのインフラ整備が進み、都市間の移動や港湾、空港へのアクセスが改善したために土地の需要が急激に上昇し、このようなマーケットの状況が生まれていると説明する。世界的に見ると同じような状況が、中国やイギリスなど一部の国でも発生している。
工業用地の供給に関して、ベトナム経済特区管理局(DEZM)は、今後、総面積20万1000haを超える561ヶ所の工業団地プロジェクトを承認する計画があると発表している。これらの工業団地が既存の374ヶ所の工業団地に追加されることで供給が安定することが期待される。
出典:31/03/2021 ZING NEWS
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