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ベトナムニュース【健康】ホーチミン市でデング熱の死者が増加している理由は?

(C) VNEXPRESS

デング熱の治療経験がある医師が退職し経験不足の医者が増えたこと、治療に必要な医薬品が不足していること、より高度な治療のできる中核病院への移送に問題があることなどが理由で、デング熱の重症者や死亡者が増えている。

ホーチミン市のデング熱患者数は今年初めから1万9000人近くとなり全国最多で、昨年同時期と比べて151%も増加している。重症者数も昨年の4倍以上の310人を超えており、多くの病院で過負荷状態が発生し、重症化する患者や死亡する患者が増えている。以前にデング熱が大流行した2019年と比べても上半期だけで重症者数は7倍に増え、死亡者数も3倍以上(10人)となっている。

ホーチミン市保健局のグエン・バン・ビン・チャウ副局長は、保健局がデング熱患者の死亡原因を究明するために、死亡したケースに関わった医療機関の関係者と専門家を呼んで、2回にわたって会合を開いたと述べた。その中には、クチ県の総合病院からチョーライ病院へ緊急搬送された3人の患者が死亡したケースも含まれている。

現在、クチ総合病院では、経験豊富なベテラン医師の多くが退職したり別の病院に転職しており、在籍している若い医師はデング熱の治療経験が不足している。特にCOVID-19の治療に専念した時期には、デング熱の治療がほとんど行われず、多くの医療関係者の交代によってデング熱の治療経験が継承されなくなっている。

「重症化の兆候を見落とし、重症化してから入院させたが、手遅れとなるケースが増えています。」とチャウ副局長は話す。

さらに、遠く離れた病院への移送も危険を伴う可能性がある。チャウ副局長は、クチ県総合病院から搬送された3人の患者の主な死亡原因は、救急車で緊急搬送したにもかかわらず、市内中心部の病院に到着するのに2時間もかかったことで治療が遅れたことだと指摘する。

この問題について、クチ県総合病院のグエン・タイン・フーン院長は、病院で働く医師約200人の内、約40%が卒業したばかりか臨床経験が5年未満の医師であることを認めた。そのため、病院では軽症で、重症化していない外来患者しか受け入れることが出来ない。しかし、実際には一部の患者は、病院に来た時点で既に重症化しており、すぐに別の病院へ搬送させる必要があるケースも存在する。

ホーチミン市保健局のグエン・フー・フン副局長は、ホーチミン市内の他の病院でもデング熱の治療経験を持つ医師が不足しており、同じような状況は地域の医療施設でも起こっていると話す。

COVID-19との戦いの後、今年の1月から3月までにホーチミン市の医療スタッフ約400人が低収入を理由に退職している。そのような状況下で、新しく採用されたスタッフは経験が浅く、各医療ステーションでのデング熱感染防止対策の広報や殺虫剤の散布など活動に遅れが生じた。一部の地域の住民は、依然としてデング熱感染防止に対する意識が低く、感染拡大リスクは依然として高いが地域の医療ステーションは対応できていない。

人員不足の問題に加えて、多くの病院ではデング熱重症患者へ処方する医薬品も不足している。ここ数ヶ月の間、他の省や市内の病院から重症患者を受け入れている熱帯病院、第1小児病院などの中核病院は、必要な医薬品が不足している。そのため、各病院では他の薬を代用しているが、保健省の推奨する医薬品ほどの効果はない。また、代用医薬品は保健省の正式な認可を受けていないので、健康保険の対象外となっている。

統計によると死亡した患者の約70%は、他の病院から搬送されてきた時点で手遅れの状態であった。今年の上半期だけで第1小児病院では7人が死亡している。また熱帯病院では3人が病院での治療中に死亡し、7人が重症で手遅れと診察され、家族によって家に引き取られている。

6月27日に開かれたホーチミン市保健局との会合で保健省治療管理局のグエン・チョン・コア副局長が指摘したもう一つの死亡原因は、デング熱の治療経験の浅い地域の民間病院で過剰な点滴がおこなわれている点にある。これは、重症化を引き起こすリスクの一つであり、重症患者の搬送が遅れて、中核病院へ運ばれてきたときには、既に危篤状態となっているケースが目立つ。

ホーチミン市のパスツール研究所が感染状況を調査したところ、過去5か月で流行しているデング熱のタイプはDEN1(57%)とDEN2(47%)が大半を占めていることが分かった。DEN2は、重症化リスクがより高いタイプと考えられている。

このような状況に直面して、4月上旬からホーチミン市保健局は、市内の4か所の中核病院である第1小児病院、第2小児病院、ホーチミン市小児病院、熱帯病院および、ホーチミン市医師会と協力して地域病院と民間クリニックの医療スタッフを対象としたデング熱治療のトレーニングコースを開催し、デング熱を早期に診断し、重症化の兆候がある患者をすぐに入院させるよう指導した。

特にクチ県総合病院については、保健局が熱帯病院に対して医師に対するデング熱治療に関する講習や治療のサポートを要請している。重症患者の場合、熱帯病院はリモート診療をおこない、現場の医師に治療方法を指示する。また、保健局では重症患者が中核病院に搬送されている間に更に重症化することを避けるために、中核病院の医師が地域の病院へ移動して治療に当たれるように病院間の救急システムを再開させることを検討している。

保健局はさらに、治療システムの過負荷状態を回避するために、各地域の病院と自治体が、中核病院と負担を分担するように提案した。具体的には、地域の病院は軽症患者の治療と収容能力を向上させることに注力し、重症化の兆候が見られたり、治療薬が不足している場合には、すぐに中核病院へ搬送する。

ホーチミン市保健局は、保健省に対して中核病院の医師が地域の病院へ行って治療を指揮したり、治療方法についての教育訓練をおこない、不必要な搬送や危険な搬送を避けることが出来るようにするための費用を補助するように要請している。一方で、今後感染がさらに拡大した場合に備えて、必要な薬や点滴の購入準備寄金を設立するとしている。

保健省のグエン・チューン・ソン大臣は、地域の医療施設に迅速に必要な医薬品を供給するために、医薬品管理局に対して医薬品、医療器具の供給元を早急に探し出し、認可、輸入、価格設定の手続きを迅速に進めるよう指示した。現在、ある製薬会社が代用血漿薬であるデキストランのベトナムでの流通認可を既に受けており、更にドンナイ省の工場でのデキストラン40の製造許可申請手続きをおこなっている。さらに、ソン大臣は、各病院に対して、重症患者の治療と死亡率の低下を目的に、全ての死亡例について分析するための研究会を開催するよう求めている。

出典:29/06/2022 VNEXPRESS
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