3月27日にタインホア省で茹でた蟹を数匹食べた46歳の男性が、2時間後に重度の中毒症状を引き起こし、バックマイ病院へ搬送された。
バックマイ病院毒物管理センターのグエン・チュン・グエン所長によると、患者は脳を保護するために心肺蘇生、人工呼吸、血管救急処置、低体温療法などの治療を受けたが、容態は非常に危険で予断を許さない状況だという。
この男性の食べた蟹はどのような蟹だったのだろうか?
4月2日、ベトナム科学技術アカデミー海洋学研究所のダオ・ビエット・ハー所長は、今回の中毒を引き起こした原因は、ウモレオウギガニであったと発表した。
ハー所長によると海洋学研究所は、バックマイ病院毒物管理センターから今回の中毒症状を引き起こした蟹のサンプル2匹を受け取り、有毒成分の分析と特定をおこなった。
その結果、サンプルで渡された蟹はどちらもオウギガニの一種であるウモレオウギガニであることが分かった。ウモレオウギガニは熱帯のインド太平洋域に生息する蟹で、サンゴ礁や岩礁の浅い海域に主に生息している。
現在、地球上には約300種類のカニが存在することが判っており、そのうちのいくつかの種類にはサキシトキシンおよび、テトロドトキシンという非常に危険な猛毒が含まれている。これら2つの毒素はフグにも含まれる猛毒で、誤って摂取すると死亡する可能性がある。
ベトナムでは、これまでにもサンゴ礁に生息するウモレオウギガニを食べて死亡した例が数例確認されている。
今回の提供されたサンプル分析により、専門家はこの蟹を2匹(50-60g/匹)食べただけで、成人男性を死亡させるのに十分な毒素が含まれていることが分かったとしている。
ハー所長によるとテトロドトキシンは、熱を加えても分解しないため加熱調理しても毒性が弱まることは無い。そのため加工食品、冷凍食品、缶詰食品などでも毒が残っていることがあり、非常に危険である。
海洋学研究所によると、このウモレオウギガニはフィリピン、台湾、インドネシアなどの多くの国で死者を出している毒蟹だということだ。
出典:02/04/2021 ZING NEWS
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