一部の専門家は、国際線の乗客に隔離措置を適用する規定が維持される限り、国際線の商用便の飛行計画は実用性に欠けるものになると指摘する。
ベトナム民間航空局は、今年の年末から4段階に分けた国際線の商用便再開計画を立案している。
この計画では第1段階と第2段階では、各航空会社は海外からのツアー客とベトナム人帰国者に対して、ホテルでの隔離をセットにしたチケットを販売する。個人旅行者に対しては、2回のワクチン接種または、COVID-19感染から回復した証明書の提出とベトナム国内での7日間の隔離が義務付けられる。最初の段階では、海外からの入国者数は1ヶ月に4000~6000人に制限される見込みだ。
この計画についてベトナム航空ビジネス協会のブイ・ドアン・ネー副会長は、「集中隔離規定が維持されると実用性に欠けることになる。」と指摘する。
「ベトナムに入国したら1週間もホテルで隔離されるとなったら、殆どの観光客やビジネスマンはあえてベトナムを訪問しようとは思わないでしょう。」とネー副会長は話す。
ネー副会長によると10月10日にベトナムの国内線が再開された際の搭乗率は30~50%に過ぎず、多くの路線で乗客が少ないために欠航となった。この主な理由は乗客が各地方ごとに異なる方針の隔離措置や医療観察措置が適用されることを敬遠したことによるものだ。
政府がCOVID-19に安全に対処するための議決128号を発行し、保健省がガイドラインを公表した後でも、一部の地方ではホーチミン市から訪れた人に対する7日間の自宅隔離規定を維持し続けた。「このような規定は、航空会社やフライトを希望する乗客に困難をもたらします。」とネー副会長は話し、隔離規定が廃止されて初めて国内線の旅客数が増加するとの見方を示した。
ネー副会長はまた、現在の国際線再開計画では規模と頻度が低すぎて航空業界と旅行業界のニーズを満たせないだろうと指摘する。
ネー副会長によるとベトナムは、感染を制御できている多くの国に対して”ワクチンパスポート”を適用することを約束している。そのため、航空会社と旅行会社は、ワクチンパスポートを所持している海外からの訪問者に隔離措置を適用せず平等に扱う必要がある。
海外からF0が入国することでベトナム国内で感染が蔓延することを防ぐために、航空業界と旅行業界は、海外からの旅行者がフーコック島、ビンパールランド、ナムホイアンリゾートなど観光客がリラックスして遊べる安全な空間を確保するために、閉鎖されたルートを作り出す必要がある。各観光地で働くスタッフは、ワクチン接種が優先される。海外からの旅行者と直接接触する機会の少ない厨房スタッフ、設備管理スタッフ、会計スタッフなどは、最低1回のワクチン接種で観光地での業務がおこなえるようにする。
ゴー・チー・ロン教授も同じ意見で、民間航空局のフライト再開計画はタイやシンガポールなど国際線を再開させた他国の経験や国内線再開の教訓が生かされておらず、ニューノーマルに適応するという精神が示されていないと指摘する。
航空便は最も重要な世界との懸け橋であり経済発展の原動力になるもので、観光産業も年間350億USDの売上高を誇る重要な経済セクターの一つだ。しかしながら、集中隔離が要求されているために、どうしても帰国したいベトナム人とベトナムに来る必要のある外国人ビジネスマンだけがベトナムへの渡航条件を受け入れるという状況となっている。
ロン教授は、タイのような現実的な海外旅行客受入れ計画と規定からベトナムは学ぶべきであると付け加えた。タイの規定では、もし旅行中にF0になった場合、治療費の全額が保障される旅行保険の購入が義務付けられている。上手に管理すれば、旅行客は密閉されたバスで市内観光をしたり、海で泳いだり釣りをしたりといったアクティビティを楽しむこともできるようになる。
「2回のワクチン接種を完了している外国人は多数存在し、ベトナムへ観光旅行へ行きたいと希望しています。これは社会・経済を回復させる絶好の機会で、地方に雇用と税収の増加をもたらすでしょう。」とロン教授は話す。
そのためロン教授は、11月初旬から国際線をオープンし、アプリを活用して観光客を管理することで、2回ワクチンを接種した観光客がベトナム到着時に検査が陰性であった場合は、隔離措置を実施しないようにすべきだと主張する。
企業側からの意見としてベトナム航空は、国際線を再開する場合、国ごとの感染状況に応じて明確に分類する必要があるとしている。例えば、グリーンエリアからの乗客でワクチンを2回接種済みの場合は、国内線と同様隔離措置を免除する。但し、到着の72時間前までの検査の陰性証明書は提出してもらう必要がある。
ワクチンの2回接種が完了していないか、感染リスクの高い地域から来た乗客は、ホテルなどで7日間の隔離を実施し、隔離後に検査結果が陰性であればベトナム国内の移動が許可される。海外から帰国したベトナム国民は、コストを抑えるためにホテルではなく自宅での健康観察を認める。
「隔離期間が長すぎると海外旅行者は、ベトナムではなくより条件の緩いタイやシンガポールへ向かうでしょう。」とベトナム航空の担当者は話す。
ベトナムの国際線再開計画は、これ以上の中断期間の長期化を避けるためにこれから年末にかけて徐々に海外のマーケットを考慮したうえで実施していく必要がある。主要なマーケットでの試験運行が成功すれば、感染状況が抑制されている国から徐々にマーケットを拡大させていくことが可能になる。
ベトナム航空によると、既に世界の多くの国がワクチンを2回接種していなくてもPCR検査の陰性証明だけで入国を認めるようになっている。
旅行会社のAZAのグエン・ティエン・ダット社長もベトナム政府は国内と同様に世界各国をグリーンゾーン、レッドゾーンなどに分類すべきだと主張する。それによって、グリーンゾーンからの入国者はワクチンを接種していれば7日間の隔離は不要といった条件を決定することができる。勿論レッドゾーンからの入国者には隔離措置が必要になる。
ダット社長は、ワクチンパスポートを所持する海外旅行者は、ニャチャン、フーコック、ダナンなどのリゾートで1~2日隔離を行い、その後は検査が陰性であれば、国内を自由に移動できるようにすべきだと主張している。
観光諮問委員会(TAB)のホアン・ニャン・チン事務局長は、国際線の再開計画は、海外から旅行者が計画の状況を確認できるようにWEBサイト上に公開すべきだと指摘する。
WEBサイトの情報は定期的または、感染状況に応じて常にアップデートされる必要がある。各航空会社と旅行代理店はこの情報を基に数週間から数か月前に計画を立案する。「もしロードマップが無ければ、各企業は、顧客のニーズに応えるための準備を十分に整えることが出来ないでしょう。」とチン事務局長は話す。
民間航空局の計画によると、海外からの旅行者を受け入れる試験フライトの第1段階は、これから年末にかけて国の区別なく実施される予定だ。ベトナムに入国する旅行者はワクチンの接種証明書と検査の陰性証明書が必要で、旅行会社の主催するパッケージツアーに参加する必要がある。
当初は1日1便で月間4000~6000人の旅行者を受け入れ、翌月からは1日2便以上に増便する。
2022年1月からの第2段階では、国際線の定期便を運行し、ワクチン接種証明書を所持している乗客のみを搭乗させる。乗客はベトナム到着後に費用を支払って隔離施設で7日間の隔離を実施する。
2022年4月以降の第3段階では、ベトナムでのワクチン接種状況と集団免疫の獲得状況に応じて、各航空会社はワクチンパスポートによる隔離無しで入国できる定期便を再開させる。この時期の乗客はベトナム人と外国人のどちらであってもワクチンの接種証明書かCOVID-19感染から回復した証明書を所持している必要がある。
2022年7月以降の第4段階では、航空会社は需要に応じて自由に国際定期便を運航出来るようになる予定だ。
出典:24/10/2021 VNEXPRESS
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