―― 本社から、ベトナムの「競争法」に違反していないか調べて報告せよと指示が来ました。海外の子会社全てにそのような指示を出しているようです……教えてください!
鷹野 「競争法」とは、公正で自由な市場競争を確保するための法律で、多くの国が同様の法律を制定しています。日本では「独占禁止法」と言われているものですね。
―― イメージは少しつかめてきました。ベトナムにも競争法があるのですね?
鷹野 はい。2019年7月に、これまでの内容を全面的に改正した新競争法が施行され、2020年5月にはその細則が施行されたとあって、当局の取締りが強化されるのではと言われています。
―― 具体的にどんなことに気を付ければいいんでしょうか?
鷹野 例えば、市場の支配的地位を利用して、不当な販売価格や販売条件を代理店・顧客に強制する等の、取引制限を課すことが禁止です。その対象となるのは市場シェアが30%以上あることで……。
―― うちの会社はそんなシェアないですよ! この話は関係なさそうですね?
鷹野 いえ、30%に達していなくとも、「実質的に競争を制限する可能性がある場合」も規制対象に入っているので、競争法の禁止行為はできる限り避けることが望ましいです。
今年の4月には、ハイネケンが代理店に対して競合ビール会社の製品を取り扱わないように命じたとして、当局の調査が入りました。結果として、罰則は科されず指導のみでしたが、やはり気を付けるに越したことはないですね。