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マーケッターの 独り言Vol.43
食料雑貨店の非現金化が促進?
躍進する支払いのデジタル化

 インテージベトナムの調査(2021年8~9月/ハノイ・ホーチミン市)によると、社会的隔離措置の4~9月の間に、ショッピングや支払いのデジタル化が強力に進展していた。

 調査によれば、「電子ウォレットの利用」(32%)と「インターネット・電子モバイルによる送金」(29%)が社会的隔離後も続けたい行動のトップ2であり、都市部の消費者の支払い方法が転換したと言える。スマホの銀行アプリからの入金完了で、現金なしで買い物ができる店舗も増加中だ。

 支払いのデジタル化はベトナムの伝統分野でも「ニューノーマル」になりつつある。ベトナム経済政策研究所(VEPR)のレポートによると、ベトナムには現在500万の家族経営店舗があり、GDPの30%程度を占めている。その中で食品雑貨店は140万店ほどと言われ、事業が拡大して会社形態にしたくても手続きが複雑なため、個人事業として続ける企業が多かった。テクノロジーへの対応が弱点であった。

 しかし、新型コロナの拡大により、ビングループの個人商店向けECアプリ「VinShop」などがデジタル化を促進し、サプライチェーン全体の効率化にも貢献し始めている。こうしたアプリを利用すれば、食料雑貨店は安価な仕入れ、多様な商品の一括発注、在庫を抱える心配のない翌日受取りが可能となる。

 伝統的で介入が困難と思われていたフィールドでのVinShopのビジネスモデルは、その伝統を見つめ直して、独自の顧客を開拓できれば、消費者ニーズの需要増からチャンスが狙えると再認識させてくれている。

牧野友紀 Yuki Makino
INTAGE VIETNAMカスタマーサポート担当。ドンズー日本語学校で日本語教師兼校長秘書として4年半勤務後、現在はリサーチャーアシスタント。様々なデータを用いた分析結果と改善策を各業界のクライアントに提供している。