―― 配車アプリのGrabって本当に便利ですよね。安いし早いし。もうこの生活に慣れたら日本の満員電車には乗りたくないですね。
鷹野 私もすっかりプラチナ会員です。開発者を尊敬しますよ。でも、このような既存の概念を打ち壊すビジネスはハードルも高いです。一昨年になりますが、大手タクシー会社Vinasun Taxiは、Grabの違法行為によって売上げが減るなどの損害が生じたとして、Grabに損害賠償の訴えを起こしたのです。
―― ニュースで見ました! まさに生存競争ですね。で、どうなったんでしたっけ?
鷹野 審理が何回も延長されたり、和解案が提示されてまとまりかけたりなど、紆余曲折あったみたいですね。内実どのような交渉があったかまではわかりませんが、昨年12月に判決が出ました。Grabの法律違反とVinasun Taxiの損害には因果関係があるとし、Grabに対し、Vinasun Taxiが受けた損害の賠償として、約48億VND(約2400万円)を支払えという内容です。主な理由としては、Grabはアプリの提供にとどまらず、運送事業を行う会社の要件を満たさずに運転手を雇用したり、旅客運送料を得ていたと判断されたことが挙げられます。
―― では、Vinasun Taxiがこの裁判に勝訴したということですか。
鷹野 元々の請求額は約412億VND(約1億8800万円)であるところ一部の損害額が認められただけですから、Vinasun Taxiにとっても完全勝訴とは言えないですね。GrabとVinasun Taxiはそれぞれ控訴しており、控訴審が開かれる予定です。
―― 第2ラウンドですね! 今後の移動手段にも関わるので注目です。
鷹野 裁判は公開審理なので傍聴できますよ。ベトナム語ですけどね(笑)。