ベトナム水産物輸出協会(VASEP)によれば、2023年1月の水産物輸出額は4億5600万USDで、前年同月比で48%も減少した。
なかでもパンガシウスは前年同期比で61%も減少し、輸出額は8400万USDとなった。エビ、マグロ、カニもそれぞれ55%、43%、32%減少した。
VASEPのレー・ハン広報部長によると、水産物輸出の減少は、世界的な景気低迷と政治的な混乱が原因とみられている。インフレの加速が消費者需要だけでなく、輸入業者の事業計画にも影響を与えている。最も輸出が下がったのはアメリカ向けの66%減で、次いで中国向けが54%減、韓国、日本、EU向けが29~48%減となっている。
なお、1月は旧正月休みがあったため、水産物輸出加工工場が7~10日ほど生産活動を停止していたことも輸出減の一因とみられる。
VASEPでは、2023年のインフレ率は世界的に低下するが、低所得者層は増加し、購買力の回復は遅れるとみている。2023年2月末時点でも、国内外の市場の購買力には回復の兆しがみられていない。
中国は、規制を緩和したものの多くの新たな技術基準を要求しており、ベトナム製品の輸出の障害となっている。主要国の中央銀行による金利引き上げリスクも各国の輸入業者にとって圧力となっている。
タン・ファット・シーフード社のルー・チューン・ザン営業部長は、同社の2023年第1四半期の輸出は依然として困難な状況であると述べ、「当社の多くの工場は、原材料不足のため輸出注文に対応することができていません」と話す。
ヴィンホアン社、アンザン水産社、ミンフー社なども労働者が仕事に復帰してきたにも関わらず前年同期と比べて輸出量が減少している。統計データによれば、1月のヴィンホアン社とIDIグループの輸出額は57%減少し、バンドゥック・ティエンザン社は55%、VAVICO社とGODACO社はそれぞれ47%と40%輸出額が減少している。
各水産加工企業によればエビ養殖業者は、養殖量を再度増加させており、4月上旬以降は原材料の供給が豊富になり、市場は再び成長に転じる可能性がある。そのため、主要市場の在庫が一巡する2023年第2四半期以降、水産物の輸出状況は回復すると予測されている。
現状に悲観せず、ベトナムの水産加工企業はよりニッチな市場へのアプローチを進めている。中でも多くの企業がラオス、イスラエル、カメルーンなどの小規模な市場への水産物の輸出拡大を目指している。これらの国への水産物の1月の輸出量は前年同期と比べて15~21%増加している。
2月末に開かれたベトナム商工会議所(VCCI)との会合で、VASEPのチューン・ディン・ホエ書記長は、苦境に陥っている水産加工企業に対して政府が金利サポート政策を適用すべきだと提案した。現在、水産加工事業者は、マーケットが回復したらすぐに対応できるようにするため、安定した生産能力を維持出来るように財務能力を確保しておく必要がある。
ホエ書記長はさらに、新たな消費トレンドに素早く対応し、市場の需要をとらえて輸出を回復できるように、各企業は原材料を積極的に調達し、製品の製造プロセスを柔軟に変革させる必要があると指摘する。「また、各国の新たな基準に対応して食の安全を確保することが、長期的にはベトナムの水産品の輸出競争力を高めるでしょう」とホエ書記長は述べた。
出典:02/03/2022 VNEXPRESS
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