新型コロナウイルスの影響で外出や外食を控える人が増えて、フードデリバリー(出前)の利用が広がっている。実はこれ、物凄く便利で楽しい。初心者の中高年日本人を対象に、人気ブロガーに利用術を聞いた。
使いやすいアプリとは?
何百というレストランの中から好みの料理が注文できて、注文を完了すれば早ければ30分から1時間程度で手元に届く。手数料(配送料)はわずか数万VNDだ。小腹が減ったらバインミー、仲間と一緒に焼鳥や刺身で家飲み、高級レストランの料理でホームパーティもできる。
フードデリバリーの仕組みを簡単に言うと、専用のアプリをダウンロードして、そこに登録されたレストランから料理を選び、配送者(主にライダー)に店から自宅や現在地に届けてもらう。配送者に料金を支払い、料理を受け取って完了だ。QRコード決済やクレジットカード対応のアプリもある。
ただ、「Grab Food」、「GO-FOOD」、「Foody」、「Vietnammm」、「Now.vn」、「BAEMIN」などアプリの種類も増え、「何だか面倒くさくて」などと敬遠する読者もいそうだ。そこで、在越10年になるブロガーのごっちさんに、初心者向けのアドバイスをもらった。
彼女はホーチミン市を中心にグルメ、美容、観光などの情報を発信する「ベトナムリアルガイド」(https://hataraku-mama. info)の人気ブロガーで、毎日のようにフードデリバリーを使い、その情報もブログにアップしている。
「Grab FoodとVietnammmが使いやすいと思います。Grabを普段使っているビジネスマンは多く、GrabPayでの引き落としもできます。Vietnammmは見やすい作りで、PCからも注文でき、到着が遅れると連絡が来るなどもメリットですね」
Grabと同じ配車アプリのGoVietによるGO-FOODは、Grabに比べてライダーが少ないせいか、配送者のキャッチまで時間がかかる気がするという。新興のBAEMINはベトナムの若者がターゲットのようで、アプリに英語版がなく、日本人中高年には不向きと考える。
もうひとつのおすすめは人気グルメサイトのアプリ、Foodyだ。Vietnammmは日系レストランの数が少ないようで、それを補完するのがGrab FoodとFoody。加えてローカル店の検索ならFoodyが信頼できそうだ。
「お店はアプリの運営会社に登録料を支払っていると思います。デリバリー専門業なら別ですが、数多くのアプリに登録していないレストランもあるため、アプリによって出る店と出ない店があるのでしょう」
店への直接オーダーもあり
こうしたアプリを使わない方法もある。一つはマクドナルドやケンタッキーなど大手フードチェーンの自社アプリ。例えば、マクドナルドの「McDelivery」は具材やドリンクの砂糖の量を調整できたり、配送料が無料になる場合もあってお得。チェーン店でも店舗数が少なかったり、自宅や会社の近くにない場合はデリバリーが便利だ。
「専用のライダーさんなので、ケチャップを忘れたと言って取りに帰ってくれたこともあります。『遠いからごめんね』と言われるケースもありますけど(笑)」
もうひとつは個々のレストランへの直接注文で、日本人経営のレストランではLINEを使うことが多いという。LINEで注文を受けたら、LalamoveやGrab Deliveryなどの配送サービスに依頼して届ける。弁当店など宅配がメインでなければ自社でライダーを雇う必要はないし、デリバリーアプリに登録しなくてもいい。LINEで新メニューやプロモーション情報も送ることも多い。
来客の減少や飲食店への休業命令で、デリバリーに注力する店が増えてきた。日系店に限らず、デリバリーをしているか否かはレストランのFacebookやホームページでチェックするのが早い。
食材や日用品のデリバリーサービスも便利だ。ごっちさんがすすめてくれたのは「Farmi.vn」と「SHARK MARKET」。どちらも日本語版があるので使いやすく、注文してから1時間単位で配送時間を指定できる。
「Farmi.vnはVietGAPなどの認証食材やオーガニック食材を中心に販売しています。SHARK MARKETはスーパーのようなイメージで、低価格品もあり、とにかく品揃えが豊富です」
日系に慣れたらGrabへ
それでは、初心者はどこからスタートすればよいのか。日本人の中高年層であれば、日系のレストランや宅配専門店から始めてはどうかとごっちさん。和食が中心なので味がわかり、日本語のメニューがあって、日本語で注文できるからだ。注文の方法はLINEなどのメッセンジャーか電話が中心だ。
「その次に、使い慣れているGrabからGrab Foodに入ってはいかがでしょうか。好きなお店やメニューを少しずつ増やしていけば良いと思います」
Grab Foodはシェアが高いので登録店舗数が多い。料理のカテゴリーやプロモーションから店を探しても、店名で検索してもOK。ほとんどのアプリは操作方法が似ているので、Grab Foodに沿って操作を見ていこう。
まずはGrabアプリをダウンロード(済んでいる人も多いはず)。自宅住所を「Home」などとして登録してあるなら、ここを届け先に設定しよう。トップ画面の「Food」をタップすると上部に検索窓、プロモーションの画像、料理のジャンルのアイコンなどと続いていく。
ここでは「Promotion」の「See All」をタップしてみる。店内でなくアプリのみのプロモーションもあるので、お得なメニューもあるはずだ。店がずらりと表示され、上部の「Sort by」などをタップすると店の並び順が変わる。
下にスクロールしながら店を見ていく。参考になるのは店名の下にあるユーザーの総合得点、およその到着時間と店までの距離、「Giam 10%」(1割引)などプロモーションの内容だ。
知らない店ならユーザー評価は目安になるし、到着に時間がかかると温かい料理は冷めてしまう。プロモーションには「10万VND以上で20%引き」や「コンボセットは15%引き」などの条件もあるので要チェック。表記はベトナム語がほとんどなので調べるか想像力を働かそう。
「ベトナム人のレビューは辛らつなものも多く、参考になると思います。店の対応が悪いなど攻撃的な書き込みもありますけどね(笑)。Google翻訳などで読んでみても面白いですよ」
注文確定!受取りをしっかり
店が決まったらタップして好きな料理を選ぶ。英語表記がない場合、あるいは写真がない場合もあって困るがここはベトナムだ。GrabよりはVietnammmのほうが写真掲載が多いとのこと。
今回はバインミーの専門店から 「Combo 1」に決める。この場合もそうだが、料理によってはオプションを注文できる。ピザにチーズを追加したり、ハンバーガーのピクルスを抜いたりで、「Extra Cheese」の項目をタップしたり、記入欄に「Without Pickles」などと書き込めば良い。
「Add to Basket」をタップ。複数頼みたければ「+」で数を増やし、必要なら他の料理やドリンクも選ぶ。「View Basket」のタップで料理に配送代を加えた合計金額が表示されるので、間違いなければ「Place Order」で注文。店と配送者に情報が発信される。
「初心者は受取りに慣れましょう。ライダーからメッセージや電話はたいてい、『これから行く』や『着いたよ』などの簡単なベトナム語か英語です。FoodyよりもGrab Foodのほうが英語のできる人が多い気がします」
GPSで配送者の現在位置が表示されるので、受け取るタイミングはわかるはず。配送はVietnammmのように部屋まで届けてくれる場合と、Grab Foodのようにマンション等のエントランス前で待ち合わせる場合がある。今は新型コロナウイルスの影響で、部屋までは無理のようだ。
飲食店の休業や外出を控える傾向から、メニュー半額などのサービスも打ち出されている。まずは気軽に頼んではみては?
お気に入りの店を見つけよう
料理の選び方や配送者とのやり取りに慣れたら、レストランや料理をネットで検索してはどうか。ごっちさんの「ベトナムリアルガイド」も参考になるし、他にもブログで情報を発信している日本人在住者は多い。そして、アプリに店名を入力して注文してみる、店がなければ別のアプリを試してもいい。
「このアプリがベスト、と紹介できれば良いのですが、店やライダーによって差が出るケースが多く、サービスの質はアプリ単位で担保されていません。だから私は、複数のアプリを同時に使って、料理を別々に注文することもあります」
ごっちさんによれば、日本人の男性は同僚など周りの人がアプリを使っていないと、自分も使わない傾向にあるそうだ。その点、女性のほうが新しいことにチャレンジングという。
「周囲の人が使っていなくても、ぜひフードデリバリーを試してください。そして、周りの人たちにその便利さと楽しさを広めてはいかがですか?」