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【料理】Netflixでも紹介された貝屋台

(C) VNEXPRESS

キム・フーンさんの貝料理屋台は、”他とは違う”営業時間で営業しているが、アメリカのテレビ番組で取り上げられたこともあり、25年間にわたり客を魅了し続けている。

フーンさんは毎日午前9時になるとホーチミン市1区のコバック通りの路地を掃除する。フーンさんの屋台は、”サイゴンでは朝食べる人がほとんどいない料理”である貝料理を提供している。路地にひっそりと佇む屋台の店主は、”他とは違う”営業時間で25年間も客を魅了してきた。

フーンさんの仕事は毎日深夜12時から始まる。翌日販売する貝を仕入れるためにビンディエン卸売市場まで向かうのだ。「家に戻ったら貝を洗って朝8時までに下拵えを完了し、9時から販売を開始します。疲れて夜どうしても起きられない時は、次の日の営業は休むんです」とフーンさんは話す。

フーンさんの貝屋は、午前9時から貝を入れる鍋のカタカタと言う音が絶え間なく響き、貝を調理している良い香りが路地全体に広がる。フーンさんの店は、昔ながらのスタイルで台車の上に大小さまざまな種類の貝を入れた籠が並び、炭火のコンロが一台と調理用のミニガスコンロが2台おかれ、路地の中には道に沿って13台のプラスチックテーブルと椅子が置かれている。

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午前10時ごろから客が埋まりはじめ、店は徐々に忙しくなり3~4人のスタッフが休むことなく、オーダーをとったり調理を手伝ったり、テーブルを片付けたりしている。この路地の小さな店の客席数はそれほど多くないので、約半数の客は持ち帰りを注文していく。テイクアウトの商品は発泡スチロールの容器に入れられ、つけダレと生野菜が添えられる。この店の料理は、大体一皿3万~3万5000VNDだ。

午前中しか販売していない理由についてフーンさんは、店を始めたころフーンさんの家族は生活が苦しかったので、路地の住民がフーンさんが路地で商売することを認めてくれた。しかし、その地域は住宅街のため、販売時間に制限があり夜間の販売は出来なかった。始めたころは店に来るのは近所の住民や近くで働く会社員がメインだったが、数年すると多くの観光客が訪れるようになった。

フーンさんによれば3年前は今の2倍近くの客足だったそうだ。2019年にフーンさんの店は思いがけずアメリカの料理番組で紹介された。その番組がNetflixで放映された後、外国人を中心に客足が大幅に増えたのだ。現在、外国人観光客の来店は、以前ほどではないとフーンさんは話す。

フーンさんの店に外国人のカップルが訪れ、ボディランゲージでスタッフとコミュニケーションを取りながら写真を見て料理を注文していた。カップルのうち台湾から来たというレイチェルさんは、ホーチミン市に旅行に来たのは初めてで、ホーチミン市の貝料理屋も初体験だと話す。レイチェルさんは、旅行の計画を立てたり地元の料理について検索しているときにこの貝屋に関する口コミ情報を見て来店を決めたそうだ。

「台湾にも貝料理の屋台がありますが、非常に少ないです。台湾でも貝料理を食べたことがありますが、ここほど種類は多くありません。初めて指の爪の形をした貝があると知って、興味が出たので頼んでみることにしました。この店のつけダレも2種類あって面白いです。地元の人にとっては当たり前かもしれませんが、私たちのような海外からの旅行者にとっては素晴らしい体験です」とレイチェルさんは話してくれた。

レイチェルさんがこの店に来ることを決めたもう一つの理由が営業時間だ。レイチェルさんによれば、これまでの旅行先で朝から貝を提供している店には遭遇したことが無い。「多分、朝から貝料理を出している店があるのはベトナムだけですよ」とレイチェルさんは話す。

レイチェルさんと一緒に来た友人のイウリさんは、これまで貝料理を食べたことが無く、スタッフが渡してくれた写真を見て4種類の料理を注文したと教えてくれた。イウリさんはこの店の料理について「味付けが濃くて、つけダレはスパイシーですが生臭さはありません」と話す。テーブルは小さく、周りはバイクが走り回って少しうるさいが、ベトナムに来る前に現地の様子やこの店について紹介する動画を見ていたので、それほど気にならないとイウリさんは話す。

フーンさんによれば、コロナが収束しても客足は以前ほどには戻っていない。以前のように客がテーブルが空くのを待って並ぶことはなくなったが、席は常に埋まっており、毎日仕入れた貝は全て売り切れている。フーンさんの店は、通常9時から13時までの営業で、時々14時から15時ごろまで営業していることもある。店には近所の常連さんはもちろん、SNSで他とは違った営業時間のフーさんの店のことを知って訪れてくる客も多い。

ホーチミン市8区に住むグエン・ティ・ビック・ガンさん(41歳)は、この店についてTikTokで知ったと話す。この日、ガンさんは人生で初めて午前中に貝料理を食べた。ガンさんはフリーランスの仕事なので、9時からこの店に来ることができたのだ。

「この店には他の店と同じように様々な種類の貝料理があります。私は、2種類注文して7万VNDでした。貝の量は多いですがサイズは少し小さいですね」とガンさんは話す。

1998年に店を始めた当初は、フトヘナタリ貝のココナッツミルク炒めしかメニューが無かった。その後、客が増えるにつれてフーンさんは様々な種類の貝を仕入れるようになり、バター炒め、ニンニク炒め、サテ焼き、チーズ焼きなど調理法も増えていった。現在は、卸売市場の状況を見て仕入れる貝を選んでいる。「最近はニンニク貝とサルボウガイが値上がりしているので、仕入れていません。その他の貝については、今まで通り仕入れてますよ」とフーンさんは話す。

この小さな店のオーナーは、忙しい中でも客とのコミュニケーションを欠かさない。この店は、フーンさん家族の主な収入源であり、子供を4年間大学に通わせるのに役立った。新しい店舗を構える日がひつになるかはわからないが、フーンさんは自分の人生に満足している。

出典:18/07/2023 VNEXPRESS
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