ベトナムの人口は2044年に1億700万人に達するが、出生率の低下によってその後人口が減少し、2100年には7200万人まで減少すると予測されている。
これは、保健省のハー・アイン・ドゥック事務次官が11月10日にハノイで開催された『ベトナムの出生率低下:現状と解決策』と題したセミナーにおいて述べた内容だ。
ドゥック事務次官は、ある国際研究機関が2020年に公表した予測によれば、日本、タイ、中国、韓国などの23カ国で2100年には人口が半減する。一方で、ベトナムは2044年に人口が1億700万人に達するが、その後、出生率が改善しなければ2100年には7200万人まで減少すると予測されている。
現在、ベトナムの人口は1億人を突破しているが、出生率は急速に低下しており高齢化が進んでいる。
保健省の人口局によれば、アジア太平地域の各国では過去70年間で出生率が急激に低下した。韓国の合計特殊出生率(TFR)は、世界最低の0.8となっており、人口維持基準の代替出生率2.1を大幅に下回っている。シンガポールと日本もTFRが低い国でそれぞれ、1.1と1.3となっている。
「現実の状況を見れば、この地域の60歳以上の人口は、2050年には2010年の3倍に増加するでしょう」とドゥック事務次官は述べ、現在のベトナムとフランスの出生率がほぼ同じであると付け加えた。しかし、ベトナムは過去数十年間において目覚ましい発展を遂げてきた一方で、出生率は1960年代の6.5から2020年には2.05まで一気に低下している。これによってベトナムの人口構成も急激に変化した。フランスが高齢化社会(65歳以上が人口の7~14%)から高齢社会(65歳以上が人口の14~21%)に代わるまでに115年かかったのに対して、ベトナムは19年でこのプロセスを経過しようとしている。
人口局のマイ・チュン・ソン氏によれば、ベトナムの出生率は、地域、省、都市によって大きく異なるが、概ね低下傾向にある。2021年ベトナム南東部の各省と市(ビンフック省を除く)とメコンデルタ地域の各省では、出生率が代替出生率(現在の人口を維持できる出生率)を下回った。中でも一部の省や市では大幅に出生率が低下しており、ベトナムで最も低いのはホーチミン市の1.39となっている。
出生率の低下は、人口構造に直接的かつ深刻な影響を及ぼし、生産年齢人口が減少し、高齢化を加速させ、人口規模を縮小させる。ドゥック事務次官によれば、この状況は家族構成、文化・社会的生活、経済、労働、雇用、社会保障などあらゆる面に深刻な影響を及ぼす。
保健省のグエン・ティ・リエン・フーン副大臣も、現在殆どの大陸で出生率が継続的に低下し、代替出生率を下回っているため、多くの国で労働力不足、人口高齢化、高齢者介護などの問題が起きている。労働力不足は2055年には世界的な問題となり、人類の発展に深刻な影響を及ぼすとみられている。これは、21世紀の人類にとって最も重要な課題の一つとなっている。
このような状況を前に、各国は出生率の低下を食い止めるために様々な政策を導入している。例えば、韓国では世界最低の出生率を記録したことを受けて、出産奨励活動への予算を3倍に増やした。韓国政府は各家庭が子供を増やせるようにするため、様々な補助金を大幅に増額している。ハンガリーでは、4人以上の子供を出産した女性は、一生涯所得税が免除される。
ベトナムでは、人口法の改定案において、出生率の低い省や市において2人目以降の子供について出産手当を支給し、子供の授業料を免除することを提案している。
出典:12/11/2023 VNEXPRESS
上記を参考に記事を翻訳・編集・制作