情報通信省のグエン・マイン・フン大臣は、半導体は、国家の重要産業であるとして国内企業に開発を呼び掛けた。
2月15日の午後、FPTグループを訪問したグエン・マイン・フン大臣は、FPTがAI、半導体、オートモーティブという3つの柱に注力しているのは、非常に正しい戦略的選択であると評価した。
半導体産業に関してフン大臣は、人間が生産活動の基本要素として情報とデータに基づいて発展する限り、データ処理において重要な役割を果たしている半導体チップの重要性は、今後も変わらないとの見方を示した。
「半導体は、ベトナムにとっての基幹産業であり、半導体産業は今後30~50年にわたり国の重要産業になるでしょう」とフン大臣は述べた。このような将来を見据えてベトナム政府は、半導体産業の国家戦略を策定しており、2024年中には開始する予定だ。
この国家戦略は、情報通信省が主体となって2023年に起草され、ベトナム国内で5万人の設計エンジニアと数十万人の関連技術エンジニアを育成し、ベトナムを2030年までに世界的な半導体製造センターにするという目標を掲げている。この目標に基づき、ベトナムの制度改革、開発政策、人材育成、研究開発、スタートアップ支援、半導体エコシステム構築、国際協力などの重要な業務が発生することになる。
統計によれば半導体チップ設計市場は年間約600億USDの市場規模があり、半導体全体ではその市場規模が6000億USDまで膨らむ。しかし一方で、エレクトロニクス関連産業の市場規模は3兆USDに、DX関連市場も20兆USD規模に成長する可能性がある。そのため、情報通信省は、FPTのような企業に対して、市場を大局的に見ることを推奨している。
フン大臣によれば、ベトナムには半導体業界で求められるSTEAM人材(Science(科学)、Technology(テクノロジー)、Engineering(工学)、Art(アート)、Mathematics(数学) )においてアドバンテージがある。
「人的リソースのアドバンテージが他の利点に繋がるでしょう。半導体人材のグローバルセンターから半導体製造のグローバルセンターに成長することが出来るのです」とフン大臣は強調した。
半導体産業はDXの中核であり、DXは、半導体産業にとって最大の市場でもある。半導体産業の発展は、ベトナムにとって国内エレクトロニクス産業の再構築機会となり、AIの発展と共に、通信機器、家電、医療機器、産業機械などの分野へ広がる可能性を秘めている。
「ベトナムの人口は約1億人で、急速に発展する巨大な市場があり、工業化やDX化が急速に進んでいます。これは、我が国の半導体産業にとっては有利な条件になるでしょう」とフン大臣は述べた。
FPTは、AI、半導体、オートモーティブに注力
FPTのチューン・ザー・ビン会長は、2023年にFPTグループの売上高が前年比19.6%増の52兆6180億VNDに達し、利益は同20.1%増の9兆2030億VNDとなったとフン大臣に述べた。FPTグループの注目すべき点は海外市場の開拓で、海外からのIT関連サービス売上が初めて10億USDを突破し、市場規模も30カ国まで拡大している。
2024年の方向性に関してビン会長は、FPTはAI、半導体、オートモーティブの3分野に注力する方針だと述べた。半導体分野に関しては、ベトナムで初めて半導体チップの商業化に成功したFPT Semiconductor社が日本と韓国から半導体チップ7000万個の製造を受注している。オートモーティブ分野では、FPTグループとしてFPT Automotive社を設立しており、自動車関連ソフトウェア開発を担う4000人のエンジニアを抱え、世界的な大手企業を顧客としている。
AI分野に関しても、FPTグループは大規模な専門家チームを組織しており、ビンディン省にAIセンターを建設し、IBMとMetaが設立した国際AIアライアンスにも加盟している。
「大きな目標を達成するため、FPTは人々の幸福が最も重要であると考えており、AIを活用して人々の更なる幸福に貢献したいと考えています」とビン会長は述べた。
ビン会長の発言を受けて、情報通信省のグエン・マイン・フン大臣は、FPTグループが世界的なテクノロジー企業と競争し、国内のIT業界に刺激を与えてきたことを評価した。現在、ベトナム国内には4万社以上のIT企業が存在しているが、そのほとんどが小規模である。2023年には1500社以上のベトナム企業が海外市場からの売り上げを記録しており、総売上高は75億USDに達している。「FPTのような大手企業の成功は、中小企業の海外進出にとって大変重要なことです」とフン大臣は述べた。
フン大臣は、FPTに対して、世界的なテクノロジー企業となり海外からの売上比率を70%以上に高めるとともに、21世紀において最も重要な変革であるDXとGXという2分野に力を注いでほしいと要望した。
AI開発に関してフン大臣は、全てのベトナム国民がAIを活用して付加価値を創造したり、収益を上げられるようにするために、AIサービスの開発を推奨した。「AIが市民に役立つために、AIはサービスとして普及すべきであり、この普及に対する責任はFPTのようなテクノロジー企業が負うべきです」とフン大臣は述べた。
出典:13/02/2024 VNEXPRESS提供
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