ーー テトから数日経ったある日、ほとんどの宝飾店の前で朝からたくさんの人が待っているのを見て、驚きました。
チー その日はおそらく旧暦1月10日(今年は2月7日)だろうと思います。
ーー なぜこの日に金を買う人が多いのでしょうか。
チー ベトナムの民俗信仰では、旧暦1月10日は「富の神様の日」とされています。富の神様は、繁盛、幸運、富をもたらす神様であるため、この日に金を買うと一年中金運に恵まれると言われています。
ーー それならそのタイミングで金を売りたい人が多いのですか? きっと売れて儲かるからです。
チー はい。しかし、ベトナムの法令上、金の商品は「金の宝飾品・美術品」と「金地金」という2つの種類に分けられ、金地金は特に厳しく取り締まられており、誰もが販売できるわけではありません。
ーー 具体的にどのように取り締まられているのでしょうか。
チー 金地金を販売するのは企業または金融機関でなければならず、所定の条件を満たした上で、中央銀行から許可を得る必要があります。
ーー 例えば企業の場合、どのような条件を満たす必要がありますか。
チー ベトナム法令によると、①定款資本が1000億VND(約5億8500万円)以上、②金の販売の事業の経験が2年以上、③金の販売の活動につき過去2年間連続で年間5億VND(約300万円)以上の税金の支払い(税務当局からの確認あり)、④ベトナム国内3省または中央直轄都市以上に支店・営業拠点を有する、という条件を全て満たす必要があります。
ーー なるほど。確かに厳しいですね。