2025年6月にホーチミン市とハノイの20〜49歳の男女200人を対象に実施した調査によると、ベトナムにおけるサステイナブル(持続可能性)への関心は確実に高まりつつあります。食品や飲料においてサステイナブル性を「重要」と回答した人は7割を超え、特に女性や若年層でその傾向が顕著です。
実際に「価格と品質が同じであれば、よりサステイナブルなブランドを選ぶ」と回答した人は全体の90%に達しており、60%の人が「サステイナブルな商品には追加料金を支払ってもよい」と考えていることがわかりました。支払ってもよい追加額の平均は約5%でした。
一方で、日常生活における実際の取組みとなると、節電や節水は比較的広く実践されているもののプラスチックの使用を避ける、エコ商品を選ぶ、環境保護活動に参加するなどの行動は限定的でした。これは、「関心はあるが、具体的行動にまでは至っていない」という現状を示しています。
サステイナブルな企業として名前が挙がるのは、Vinamilk、TH true MILK、Nestléといった大手食品メーカーが中心です。これらの企業は、再利用可能な包装材の使用、リサイクル活動、温室効果ガス排出の削減など、多様な取組みを通じて消費者からの認知を得ています。
総じて、ベトナムにおけるサステイナブルへの意識は発展途上ではあるものの、今後のブランド戦略においては無視できない要素となりつつあることが示唆されました。特に女性や若年層を中心としたターゲット層には、サステイナブルな姿勢がブランド選択に影響を与える重要な軸になってきています。
著者紹介:黒川 賢吾 Kengo Kurokawa
Asia Plus創業者兼代表取締役。NTT、ソニー、ユニクロを経てベトナムで起業。ベトナム最大級のオンラインリサーチパネルを利用して年間200以上の調査をこなすリサーチのプロ。
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