ベトナム政府は、金の売買に対して個人所得税を課す方針を検討している。証券取引と同様に課税を行うことで、投機を抑制し、税収確保と投資環境の公平性を図る狙いである。
「売買で巨額の利益を得ても無税は不合理」
元税務総局局長で『税務雑誌』元編集長のグエン・ゴック・トゥ氏は、政府の課税方針を支持し、次のように述べた。
「オンライン販売業者は1~2%、株式取引は0.1%、不動産取引は2%の個人所得税をすでに納めています。金取引だけ課税されていないのは不自然で、法律上も課税対象であるのに実施されていなかっただけです」
金市場の特殊性と投機の広がり
トゥ氏によれば、これまで金は主に「貯蓄」として保有されることが多かったが、近年は国内市場の価格が国際市場から大きく乖離し、2,000万/テール(37.5g)以上の差が出ることもあった。このため、価格変動を狙った投機取引が活発化している。
「最近では、数百テール単位の売買で数十億ドンの利益を得ても課税されない事例がありました。こうした利益がすべて投機筋に流れるのは健全ではありません」とトゥ氏は指摘する。
投資環境の公平性確保へ
金取引に課税を導入することで、証券・不動産・オンライン販売など他の投資チャネルとの公平性を確保し、同時に税収の取りこぼしを防ぐ効果が期待される。また、課税により利幅が縮小し、預金や他の投資への資金シフトも見込まれるという。
課税の対象と方法
一方で、生活のために長年貯めた金を換金するようなケースへの配慮も必要とされる。
「例えば1テール以上の売買から課税対象とし、指輪など小口の金製品についてはより緩やかな基準を設けることが望ましいでしょう。課税の公平性を保つために免税枠を検討すべきです」とトゥ氏は述べた。
また、徴収方法については「金取引企業による源泉徴収が適切だと思います」との見解を示している。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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