地域別で最大35万ドン増、縫製・靴製造業に影響大
内務省は2026年1月1日から適用される地域別最低賃金を平均7.2%引き上げる案を完成させ、政府に提出した。
月額ベースでの引き上げ幅は25万〜35万VNDで、調整後の最低賃金は以下の通りである。
- 地域Ⅰ:531万VND(約3万円)/月
- 地域Ⅱ:473万VND(約2.7万円)/月
- 地域Ⅲ:414万VND(2.4万円)/月
- 地域Ⅳ:370万VND(2.1万円)/月
内務省の試算によると、最低賃金引き上げに伴い、企業の生産コストは平均0.5〜0.6%上昇する見込みだ。
中でも繊維・縫製業や靴製造業では1.1〜1.2%の上昇が予測されている。
主な負担増は社会保険料などの法定費用
同省は、今回の調整は「労働者の生活改善」と「企業の経営維持・発展」のバランスを取ったものだと説明する。
多くの企業はすでに現行の最低賃金を上回る給与を支払っているため、実質的な影響は社会保険料などの法定負担の増加にとどまると見られている。
一方、現在最低賃金に近い水準の給与を受け取っている労働者については、企業が賃金を再調整する必要がある。
「労使関係の安定に寄与」―内務省
内務省は、最低賃金引き上げが労働者の生活向上を後押しし、労使間の安定的で前向きな関係の構築に寄与するとしている。
また、労働争議やストライキの発生を抑える効果も期待されている。
VCCI副会長「企業は管理能力向上に努める必要」
ベトナム商工会議所(VCCI)のホアン・クアン・フォン副会長は、7.2%という上げ幅は高い水準だと指摘した上で、「企業は業務の最適化や生産性向上に努め、科学技術の導入や管理体制の改善を進める必要がある」と述べた。
フォン副会長によれば、企業の最優先課題は生産指標の維持、雇用の確保、熟練労働者の定着である。
時給制最低賃金も改定、最大2万5500VNDに
内務省はまた、時給制の最低賃金も月給ベースに合わせて調整する方針を示した。
- 地域Ⅰ:2万5500VND(約145円)/時
- 地域Ⅱ:2万2700VND(約129円)/時
- 地域Ⅲ:2万VND(約113円)/時
- 地域Ⅳ:1万7800VND(約101円)/時
この水準は、飲食業などパートタイム・短時間勤務者に支払われる最低水準と同等であり、多くの企業ではすでにこの額を上回る給与を支払っている。
したがって、時給制の改定によるコスト増や雇用機会の減少はほとんど生じないと見込まれている。
生活向上と労働市場の安定を両立へ
内務省は、今回の改定が柔軟な働き方を選ぶ労働者の生活改善と、最低賃金制度の保護機能強化につながると強調した。
また、月給制と時給制の間で給与体系が大きく変動することはないため、企業の賃金体系や労使関係に混乱は生じないとしている。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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