「清掃員募集」を装った詐欺 零細事業者の監督に抜け穴
ホーチミン市で「清掃員募集」をうたい労働者を集め、金銭をだまし取る事件が発覚した。報道によると、ストア・キム・ファットという個人事業者が就職説明会を装って実際には販売研修や投資説明会を行い、求職者から金を徴収していた。事件は、行政の監督不備と法の盲点を浮き彫りにしている。
登録業種を逸脱した違法営業
ホーチミン市弁護士会所属のダン・ティ・トゥイ・フエン弁護士は、「キム・ファットは小売業として登録されていたが、実際には販売スキル研修や投資活動を行っており、これは職業教育分野に該当するため、登録範囲外の営業だ」と指摘する。
また、同事業者が求職者から“入社金”を徴収していた行為は労働法に明確に違反するという。
「採用を条件に金銭を受け取ることは違法であり、5000~7500万VNDの罰金、営業停止、返金命令の対象になる」とフエン氏は説明した。
「採用」「融資」「徴収」を組織的に繰り返す手口
キム・ファットでは“清掃員募集”を装い労働者を呼び込み、融資を斡旋して商品を購入させ、「商品を買えば正社員になれる」「月給900万ドンを保証」と説明していた。
しかし、雇用契約書は存在せず、実際には誰一人正式採用されていなかった。
フエン弁護士は「この一連の行為は組織的・計画的に役割分担がなされており、資金詐取を目的とした故意が明らかであるため詐欺罪にあたる可能性が高い」と述べた。
さらに、紹介制度や階層別報酬など“疑似マルチ商法”の手法も使われていたため、
「無許可のマルチ商法ビジネス」として刑事責任を問われる可能性があるという。
「小売業を装ったマルチ商法」―弁護士が指摘
ホーチミン市弁護士会のボー・ダン・マック弁護士(ベトナムマルチ商法協会幹部)は、「小売業とマルチ商法は本質的に異なる」と説明する。
「マルチ商法は商工省の許可が必要な業種であり、参加者が他者の販売成績から報酬を得る構造です。一方、小売業は消費者に直接販売して完結するもので、ネットワーク報酬を設定することはできません。」
その上で、「キム・ファットの実態は明らかに無許可の多層販売に該当する」とし、
「不正利得が数十億VND規模に上る場合、刑法第217a条に基づき最高5年の懲役または50億VNDの罰金が科される可能性がある」と述べた。
消えた店舗、残された“借金と失望”
10月22日、警察が立ち入り検査を行った翌日、ホーチミン市アンホイタイ街区のキム・ファットの店舗はシャッターが下ろされており、関係者が箱を運び出す姿が確認された。
数日後、再び「出勤の案内」を受けた元従業員が訪ねると、店舗はもぬけの殻状態だった。求人サイトやSNS上の募集投稿はすべて削除され、連絡先も不通になっていた。
10月29日には看板も撤去され、キム・ファットは完全に姿を消した。
多くの労働者は数千万から数億ドンを投資させられ、「すぐに回収できる」「人生を変えるチャンス」と信じた結果、借金と裏切りだけが残った。
地方当局と警察が調査中
アンホイタイ街区人民委員会によると、同区警察が現在、詐欺罪の疑いで関係者の責任を追及している。「現時点の調査では、キム・ファットには資産詐取の兆候がある」と当局は述べた。
また、今後は個人事業全体の監督強化に乗り出す方針を明らかにした。
定期・臨時検査の頻度を増やし、業種ごとの登録条件を厳格化するほか、許可要件を明文化して管理体制を統一する計画である。
SNS求人の“闇”を防ぐために
ホーチミン市内務局も、SNSや求人サイト上で虚偽の採用情報が横行している現状を警告している。
現在、警察と連携して虚偽求人の摘発・監視システムの構築を進めている。
同局は、求人情報の掲載前に事業許可・住所・責任者情報の確認を義務化する案を提案しており、また、求職者が投稿内容を評価・通報できるフィードバック機能の導入も検討している。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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