ホーチミン市のあるタピオカミルクティー店が、カインホア省およびダックラック省のベトナム祖国戦線委員会に対する募金送金用QRコードを店頭に掲示し、飲料代の代わりに中部洪水被災地への寄付を呼びかけている。
中部の被災に心痛、店が選んだ“特別なシェアの方法”
連日続く豪雨によりベトナムの中部地方は深刻な洪水に見舞われ、人命と財産被害が相次いでいる。
そんな中、ホーチミン市の小さなタピオカ店が「売上を受け取らず、飲料代を被災地へ寄付してほしい」という独自の形で支援を行っている。
11月24日の雨の午後、旧ビンタイン区グエンザーチー通りの小さなタピオカミルクティー店のカウンターにA4の紙が掲げられていた。そこにはカインホア省祖国戦線委員会への募金送金用QRコードと、「豪雨災害支援」の文字が記されていた。
派手なスローガンも長い呼びかけもない。しかし、この素朴な呼びかけはSNSで大きな反響を呼び、瞬く間に多くの人の心をつかんだ。
店内が最も混み合う時間帯、店主の「中部を支援してあげてね」というさりげない一言が、若い客たちの胸を打った。
顧客に寄り添う店主「同胞だから。被害を見れば心が痛む」
ダックラック省出身の18歳のハイさんは、「実家も今回の洪水の被災地です。連絡がつかない時は怖かった。店の取り組みを見て胸が熱くなりました」と語る。
店主のチンさんは、「同胞ですから。被害のニュースを見ると、誰だって胸が痛むでしょう」と穏やかに語った。
店はどれほど売れているか気にしていないという。ただ、ひとりの客がこの紙の写真をSNSに投稿してから、来客は明らかに増えた。
飲み物よりも「被災地のために何かしたい」という思いで訪れる人が多いという。
23日はダックラック省祖国戦線の口座を掲示していたが、24日はカインホア省の口座に変更し、「内容欄に『カインホア支援』と記入してください」と添えるなど、複数の被災地へ平等に支援が届くよう工夫していた。
広がるホーチミン市の“静かな”支援文化
常連客によれば、同店は以前の北部豪雨でも同様に祖国戦線の送金コードを設置し、静かに支援を続けてきたという。
ある客は「祖国戦線の口座と気づいて驚いた。店は善意をアピールしないところが素晴らしい」と話す。
SNSでは「サイゴンはいつも温かい」「こういう優しさが街の魅力」といったコメントが多く寄せられている。
人々が語るのは、飲み物の味でも店の知名度でもない。
“寄付したお金が必要な人に確実に届く” という安心感と、そこから生まれる温かさである。
中部では歴史的な洪水に人々が屋根の上で救助を待つ状況もあった。被害額の数字の裏には、ひとりひとりの喪失の物語がある。
小さなタピオカ店の行動だが、送金コードを通じた“直接支援”は、ホーチミン市の人々が持つ静かで力強い支え合いの精神を象徴している。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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