ベトナム政府はこのほど、2021〜2030年期の国土総合計画(2050年ビジョン)の調整を承認した。計画では、6つの社会経済地域、5つの成長動力地域、そして4つの成長極(ハノイ、ダナン、ホーチミン市、カントー)が方向付けられた。
経済政策研究院の元副院長で、ハノイ国家大学経済大学講師のグエン・クオック・ビエット博士は、中央の行政改革や地方政府の二層化に伴い、成長モデル転換に対応した開発空間の再編が不可欠であると指摘する。
成長動力地域の設定がもたらす効果
ビエット博士によれば、ベトナム経済では新たな成長空間として都市の核が重要である。
ハノイやホーチミン市は技術革新・先端技術の中核として機能し、カントー市は農産物加工とエコツーリズムの中心として発展が期待される。
北中部・中部の成長動力地域は、クリーン産業、エネルギー、観光、沿岸物流などの開発を強化する必要があるという。
また、成長動力地域の設定は、経済空間の連結強化や科学技術・イノベーション・デジタル経済・グリーン経済を柱とした新たな開発戦略の構築に資するものである。
これにより、高度技術産業クラスターの発展や、グローバルバリューチェーンへの参入が促進される。さらに、労働生産性向上や全要素生産性(TFP)のGDP寄与率を2030年までに55%へ引き上げる目標達成にも寄与する。
都市中心の成長モデルへの転換
ベトナムは現在、資源依存型・労働集約型の成長モデルから、技術・生産性向上を基盤とする成長モデルへ転換する過程にある。
ビエット博士は、成長極となる大都市が高度技術産業やサービス産業を集積し、物流コスト・ビジネスコストを低減することで、投資の呼び込みに大きく貢献すると指摘する。
特にハノイとホーチミン市は、北部と南部の二大成長動力地域の中心であり、資金、人材、政策、実験的取り組みなど、投資誘致の条件が最も整っている2都市である。
日本やフランスからの示唆
ビエット博士は、日本やフランスを含む諸外国の経験から、地域開発は行政区域の単純な「足し合わせ」ではなく、経済回廊や比較優位を基盤にした空間再編が重要だと説明する。
例えば、ハロン湾(クアンニン)とランハ湾(ハイフォン)の連結により、景観資源の相互補完を最大化する取り組みが進む。
また、大都市と生産拠点・物流インフラの連携強化も主要な課題であり、多くのアジア諸国では首都圏人口の3分の1〜2分の1を都市が占めている。
さらに、ベトナムは長い海岸線を持ち、海洋経済に強みがある。アジア諸国の経験では、高い成長を達成するには海洋経済と結びついた成長動力地域の形成が不可欠であり、今後の重点課題として指摘された。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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