【災害】ベトナム中部高原ダックラック省、豪雨・洪水で被害7兆VND超

ダックラック省、歴史的洪水で甚大な被害

ベトナム中部高原ダックラック省では、記録的な豪雨と洪水により人的・物的に甚大な被害が発生し、被害総額は7兆VND超（約420億円）に上ると推計されている。地元当局は、住民の生活再建に向け、総力を挙げた支援を進めている。

40の行政区で被災、台風13号も影響

12月21日、ダックラック省農業・環境局は、今回の歴史的な豪雨および台風13号（カルマエギ）の影響により、同省内の40の村と街区（東部34、西部6）が深刻な被害を受けたと発表した。

農業被害が突出、作物・家畜が大量流失

農業分野では、約2万9,400ヘクタールの作物が損壊し、約94万1,000頭の家畜・家禽が流失した。農業被害額は3兆6,000億VND超（約216億円）に達し、そのうち水産分野だけで2兆VND超（約120億円）の損失が出ている。
豪雨・洪水による省全体の被害額は、7兆VND超と見積もられている。

種籾2,600トン流失、緊急支援を実施

住民が保有していた種籾約2,600トンが完全に流失したことを受け、農業当局は企業や支援団体に呼びかけ、種籾75トンと各種野菜種子3トンを緊急配布した。
さらに、果樹園の再建を目的として、バナナ苗1万本超が住民に届けられている。

畜産再開へ、来年1月に種畜支援

畜産分野では、環境の消毒・殺菌作業が完了した後、2026年1月20日をめどに、農業・環境局が企業と連携し、種畜3万頭および飼料を被災世帯に支援する計画である。

用水路損壊で作付けに遅れ

洪水により灌漑用水路が深刻な被害を受けており、当局は2026年1月10日までの修復完了を目指して昼夜を問わず工事を進めている。ただし、約9,000ヘクタールの冬春作水田では、十分な灌漑確保が困難な状況が続いている。

作付け時期を柔軟調整、収入確保へ

冬春作の稲の播種時期は、例年より約10日遅れる見通しである。排水条件が確保できない地域については、作物構成を転換する代替案を準備し、住民の収入確保を図る方針だ。

中央政府に財政支援を要請

ダックラック省農業・環境局は、全職員を動員し夜間作業も強化しながら、生計再建支援を進めている。同時に、ダックラック省人民委員会を通じて、中央政府に対し復旧資金の支援を要請した。