事業用不動産サービス大手のCBREは、工業団地のハノイ市とホーチミン市から近隣省への移転傾向が、より鮮明にになってきているとのレポートを公表した。
この傾向についてCBREが新たに発表したレポートでは、ホーチミン市とハノイ市の工業団地の賃貸価格は近隣省に比べてはるかに高いと指摘している。現在ホーチミン市内の工業団地の賃貸価格は平米あたり180~300USDとなっており、ハノイ市でも平米あたり175USDから260USD必要で、ビンズン省の100~150USD/㎡、バクニン省の90~125USD/㎡、ハイズン省の65~95USD/㎡、ハイフォン市の80~125USD/㎡、フンイエン省の70~90USD/㎡と比べても2倍近い数字となっている。
価格が高いだけでなく、ホーチミン市とハノイ市内の工業団地は、殆ど空きが無い状態だ。これらの地域では既に契約済みの土地が90.8%と99%となっている。一方で、近隣の省では、例えば南部のチュンルーン‐ミートゥアン高速道路、ザウザイ‐ファンティエット高速道路や北部のバンドン‐モンカイ高速道路、ニンビン‐ハイフォン高速道路など現在建設中のインフラプロジェクトによって、中心部とのアクセスの向上が見込まれている。
更にCBREのレポートによると2021年1月から9月の工業用不動産市場は、COVID-19の影響があったにもかかわらず、僅かではあるがプラス成長している。具体的には、北部のハノイ市、バクニン省、ハイズン省、ハイフォン市などの主要工業団地の平均稼働率は、昨年から0.5ポイント上昇して78.5%となっている。南部の主要都市の工業団地でも稼働率は昨年から0.2ポイント上昇して、87.2%となっている。
土地の賃貸規模については、3~25haまでの幅があり、最も主流なのは3~5haで、家具製造、電子部品製造、倉庫、梱包などの業界の需要が高まっている。
2021年第3四半期には、国際線と国内線のフライトが制限されたために工業団地の土地の賃貸とレンタル工場の需要は僅かに減少した。CBREでは、第4四半期には移動制限が徐々に緩和され、工業用不動産需要が再び活発になると予測している。COVID-19の感染状況にかかわらず稼働率がプラス成長していることから主要な工業都市での工業団地価格は安定して推移するとみられている。
CBREによると、COVID-19による劇的な変化によってベトナムの工業用不動産は、国内外の投資家にとって非常に魅力的なチャンスとなっている。一方で、COVID-19による社会隔離措置によって生産拠点の多様化、倉庫の拡大、特に食品や農産物用の冷蔵倉庫の必要性がクローズアップされるようになった。サプライチェーンの移転が加速する中で既存事業の拡大と生産拠点の建設が、今後数年の需要促進の主要な原動力になるとみられている。
CBREベトナムの調査コンサルティング部のファン・ゴック・タイン副部長は、短期的な困難は早期に解決され、長期的には現在ベトナムで活動する外資系企業の拡大計画によってベトナムのマーケットは力強い成長を維持するとの見方を示す。
CBREアジア太平洋支社の最新の調査によると、今後3年間は製造業と物流業の投資家にとってベトナムは重要なマーケットになると評価されている。また、投資家が新たな製造拠点を建設する際には、製造活動の安定性と、環境、社会、ガバナンス(ESG)指標に関心が高まっている。
工業団地開発業者も新たな状況に適応するために、工業団地開発に変化を加えている。中でも最近では、入居企業がプロジェクトを実施する際に時間とコストを節約できるように、管理と物流インフラに最新技術を導入し、法務、人事などを含めたパッケージサービスを提供することがトレンドとなっている。
出典:17/10/2021 VNEXPRESS
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