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【社会】外国人男性との結婚の理想と現実

(C) VNEXPRESS

韓国人建築家との結婚は、”天国への階段”だと思われたが、一緒に住むようになってハイ・バンさんは、夫が実は農業を生業とする気難しい男であることを知った。

ハイズン省出身の女性であるハイ・バンさんは、高校卒業を控えた時期に、家族から外国人と結婚するよう薦められた。バンさんの2人の従姉も韓国人と結婚して韓国で主婦として生活し、両親に定期的に仕送りをして年に1回ベトナムに帰ってきていたので、バンさんはこの提案を承諾した。

バンさんは結婚仲介業者を通じて、ソウルに住む年収4000万ウオン(約7億5000万VND)の13歳年上の男性を紹介された。結婚式はバンさんが19歳になった2016年に行われた。

結婚して韓国に到着してからハイ・バンさんは初めて、自分が騙されていたことに気付いた。夫は建築家ではなく、韓国中部の田舎の農家だった。バンさんはお金を使うことも電話をかけることも出来ず、外出する際には誰かが監視役についた。夫は短気ですぐに妻に暴力を振るう。バンさんが男の子を出産しないと、夫の態度は更に悪化していった。

バンさんは、家族を心配させたくなかったし、知り合いに笑われるのも嫌で2年間我慢して生活した。

2018年の大晦日にもバンさんは夫から暴力を受けた。「彼は、私を殴るのに疲れると、私と母の写った写真を破り捨て、男の子を出産できるまで実家に帰れるとは思うなと言いました。」とバンさんは当時を振り返る。バンさんは、その日の夜に泣きながら弁護士のレ・ホン・ヒエンさんに電話した。「どうやったらこの結婚から抜け出して両親の家に帰れるのかわかりません。」とバンさんは弁護士に助けを求めた。

ハイ・バンさんからのSOSを受けて、ハノイ弁護士協会に所属する弁護士のヒエンさんは、バンさんが結婚手続きをおこなったハイズン省に行って、必要な書類を集め、バンさんが離婚申請手続きをするのを手伝った。「これは単なる離婚手続きではなく、救出作業であったので慎重かつ、迅速に進める必要がありました。」とヒエンさんは話し、結婚仲介業者を通じて結婚する殆どのベトナム人女性は法律に詳しくないので、夫が書類を預かっていれば離婚手続きができないと思っていると付け加えた。

バンさんは、結婚仲介業者を通じて韓国人男性と結婚した数千人のベトナム人女性の一人にすぎない。多くの夫婦は幸せな結婚生活を過ごしているが、少なくないベトナム人女性が海外で差別や暴力を受け、中には夫の暴力によって亡くなった花嫁もいる。2017年の韓国人権委員会の調査によると、42%以上の外国人妻が夫から身体的、精神的、性的、経済的虐待を経験している。これは、韓国人女性の29%を大きく上回っている。

弁護士のヒエンさんは、過去10年以上に渡って結婚仲介業者を通じてアジア諸国の男性と結婚したベトナム人女性の離婚手続きを何百件も支援してきた。「多くのベトナム人女性が、騙されて海外の田舎の男性と結婚し、夫に仕え、高齢となった義理の両親の面倒を見るように強制され、まるで家政婦のように扱われ、結婚生活に絶望しています。」とヒエンさんは話す。

ここ数年、台湾、韓国、日本など外国人の男性と結婚するベトナム女性が増えている。公安省の統計データによると、2008年から現在まで、毎年平均1万8000人のベトナム人が外国人と結婚しており、そのうち72%が女性となっている。2018年の人口総局の調査では、台湾人または韓国人と結婚して海外に住んでいるベトナム人女性の数は17万人を超えている。

数年前、韓国の農村部で深刻な花嫁不足が問題になった。この状況を改善するため、韓国は、結婚仲介業者に補助金を出して、韓国人男性が結婚して子供を持つことを奨励した。もし、結婚仲介業者が韓国の農家の男性と外国人女性の結婚を仲介した場合、仲介業者は400万から600万ウオン(7800万~1億2000万VND)を受け取れる。2018年の統計では、外国人と結婚した韓国人男性の総数1万6600人のうち、ベトナム人との結婚が最も多い6300人となっている。2017年の政府の調査によれば、妻を探している男性の平均年齢が43.6歳の一方で、女性の平均年齢は25.2歳となっている。

仲介業者による結婚だけでなく、恋愛結婚した女性の場合でも異国の新しい環境での結婚生活にショックを受けることがある。32歳のフーンさんは、5年前に日本人男性と結婚し、最初の4年間はベトナムで幸せな結婚生活を送っていた。

2019年に夫の帰任によって日本に移り住んでから、突然多くの諍いが起きるようになった。優しくて物静かだった夫は、突然短気になり、毎日帰宅後に妻と喧嘩するようになった。何度も喧嘩をした後、夫は妻を家から追い出し、子供たちと会えないようにした。

「夫がまるで別人のように変わった時、騙されたと感じました。」とハノイ出身のフーンさんは話す。フーンさんは一刻も早く離婚して子供たちを連れてベトナムに帰国しようと考えた。

夫婦喧嘩から6日目に夫はフーンさんに家に入ることを許し、謝罪して二人で話し合うことを提案した。夫婦の険悪な様子に娘が体調を崩したので、フーンさんは子供を病院に連れて行こうとしたが、夫は一緒に行くことを拒否した。フーンさんは一人で子供を病院に連れていき、その後は、子供を連れてホテルに滞在した。「驚いたことに夫は私の居場所を見つけて、警察に子供が誘拐されたと通報しました。そのため、娘は児童養護施設に連れていかれることになってしまいました。」とフーンさんは話す。

3歳の娘は突然3週間も両親から引き離されることになった。夫婦はともに子供を愛していたので、早急に和解することを望んだ。この期間、フーンさんは夫とは別居していたので、自分と周囲の関係についてもう一度見直して考える時間ができた。フーンさんは、新しい職場環境でプレッシャーのあった夫のことをもう少し考えるべきだったと思い至った。フーンさんは慣れない国での生活のために、なんでも夫に頼んでやってもらい、生活費も以前よりかかるようになっていた。「日本人の夫の特徴は追いつめられるとすぐに行き詰まってしまうことなんだと気づきました。」とフーンさんは話す。

フーンさんの夫も自分を省みて妻に謝罪し、新しい関係構築のために、悩みごとの共有、家計の明確化、よく話し合う、友達を増やすなど10の解決策を提案した。児童養護施設の専門家との6回のカウンセリングも夫の精神を安定させるのに役立った。

ホーチミン市在住の31歳のリン・ニーさんは、子供の頃に横暴でしつけに厳しく、妻や子供に手をあげる父親の下で育ったため、外国人の男性と結婚すると決めていた。しかし、欧米人の男性と何度かデートした後で、結婚自体を諦めた。

「私が好きになって暫く付き合った欧米人の彼氏二人は、フリーセックス的な考えを持っていることが分かりました。フランス人の彼氏の場合、私と付き合っているのに同時に複数の女の子と付き合っていました。」とニーさんは話す。

2018年にニーさんは、アメリカ人の男性と知り合い恋に落ちた。二人は結婚まで考えたが、一緒に過ごせば過ごすほど、ニーさんは彼のケチな面が気に障るようになった。彼は、婚約したにもかかわらず生活費や食費を割り勘にした。「二人が結婚してアメリカに住もうと決めたとき、彼は婚前契約書を作成したいと言いました。私はこれまで経済的に自立して生きてきたので、いい気分はしませんでしたが、彼を愛していたので従いました。でも、彼は最初から彼の両親の家の権利についてもはっきりさせたいと言ったんです。」とニーさんは話してくれた。

彼の考え方にはついて行けそうもなく、海外での生活にも慣れることが出来ない可能性もあると思って、ニーさんは、自分から彼との関係を終わらせた。「今となっては、夫が外国人かベトナム人かや結婚しているかしていないかといったことには興味がなくなりました。」とニーさんは話す。

SNS上にはしばしば『欧米人とベトナム人の男性』というトピックが上がり、議論が行われる。4万5000人の女性会員が参加するグループの創設者であり、『愛を怖がらないで。女性であることはちっとも難しくない』の著者でもあるグエン・キム・オアインさんは、よく女性たちから相談を受ける。

オアインさんによると外国人男性との結婚に幻滅する主な理由は偏見とレッテル貼りにある。Netflixの最新のスタンダップコメディショウで、ロニー・チェンは、「どんな人種にも良い奴と悪い奴がいる。人種差別というのは、ある人種の最高の10%と他の人種の最低の10%を比べることから始まるんだ。」と話した。

「これは、恋愛についても全く同じことです。欧米人男性と比べてベトナム人男性を批判しているのは、ベトナム人男性の悪いところと欧米人男性の良いところを比較しているに過ぎないのです。」とオアインさんは話す。

ジャーナリストのホアン・アイン・トゥさんは、恐らくレディーファーストといった面からみれば欧米人男性の方がベトナム人男性よりも優れているだろうと話す。ただ、もし結婚相手をレディーファーストを基準に選ぶとしたら、大きな間違いだとトゥさんは指摘する。

「外国人男性にも色々な人がいて、暴力的な男性もどの国籍にもいます。」とトゥさんは話す。

男女の違いが引き起こす恋愛や結婚に対する考え方の違いを表す「男が火星人なら、女は金星人」という言葉がある。外国人と結婚したとしても相手の国についての知識や言語、文化、習慣について良く理解していない場合、結婚生活は不安定なものになる。一般的にベトナム人の親切心は欧米人にはプライバシーの侵害と感じられる。ベトナム人の夫が妻から叱られれば笑い話になるが、欧米人の夫は侮辱行為だと捉える。

「私の友人は外国人の夫と結婚した人が多いですが、それは外国人だからという理由ではなく、愛があったからです。それでも友人たちは外国人と結婚することの難しさを嘆いています」とトゥさんは話す。

ジャーナリストのトゥさんは、外国人男性と結婚するのは、将来子供に外国籍を持たせたいとか欧米人男性のほうがベトナム人男性よりも優しいとかいった理由ではなく、自分の心を幸せにするために結婚をすべきだと指摘する。

オアインさんは、あとから幻滅したくないのであれば、女性は相手の男性自身を愛し、その男性の出身、背景、肌の色、職業、宗教などのレッテルを気にする必要はないとアドバイスする。「もちろんこれらの要素を参考にして自分に会っているか考えることはありますが、これらの要素を人を判断する基準にしてはいけません。」とスイス在住の作家であるオアインさんは話す。

ハイ・バンさんは、離婚手続きから数か月後に無事に帰国した。手続きをサポートしてくれた弁護士のヒエンさんに会ったときにオアインさんは「あなたのお蔭で生き返ることができました。」と感謝の気持ちを述べた。実際、あの大晦日の夜、韓国とベトナムの様々な友人に電話をかけたが、唯一ヒエン弁護士だけが電話に出て、あまり思いつめないように励ましてくれたことでハイ・バンさんは自殺を思いとどまったのだった。

出典:16/04/2022 VNEXPRESS
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