―― テト(旧正月)の前に、ベトナム人の友人から「13ヶ月目の給料」という言葉を良く聞きますが、これは何でしょうか。
フィンチー それはベトナムの商習慣の一つです。一般的にテトの前に使用者は、丸12ヶ月勤務した従業員に対して、その賃金に加えて最低でも1ヶ月分の賃金を支払っています。その追加的に支払われる賃金を、ベトナム人は「13ヶ月目の給料」と呼んでいます。
―― なるほど。使用者は「13ヶ月目の給料」を支払う義務を負っているということでしょうか。
フィンチー ベトナムの労働法上は、「13ヶ月目の給料」に関する定めはなく、法律上は「賞与」に当たると考えられます。労働法では賞与は、使用者が労働者に対して、会社の業績や労働者の仕事のパフォーマンス等に基づいて支払う金銭等とされていて、使用者は、必ずしも従業員に賞与を支払う義務を負っていません。
従って使用者は、法律上は当然に賞与を支払う義務を負っているわけではありません。
―― それでも「13ヶ月目の給料」は支払っているのですね。
フィンチー はい。実際にはベトナムでは、労働契約、就業規則、他の会社の内部規定等で、「丸12ヶ月勤務した従業員はテトの前に少なくとも1ヶ月分の賃金を支給される」旨を定めていることが多いです。
その結果、使用者は、かかる契約や会社の規定に基づいて、従業員に「13ヶ月目の給料」を支払う義務を負うことになっています。
―― わかりました。今年はいくらもらえるのか楽しみだな(笑)。