AIカメラによる交通違反取締り、その法的根拠は何か
ホーチミン市やハノイ市、公安省交通警察局が、AIカメラを活用して交通違反を検出し、いわゆる「自動取締り(罰金通知)」を行っていることについて、AIカメラに法的根拠はあるのかとの疑問の声が上がっている。
法律と通達が定める「カメラによる違反検出」
2024年施行の道路交通秩序・安全法第67条は、治安・交通安全を確保するための監視システムや、都市部および道路上のカメラシステムを通じて、交通違反を検出することを認めている。
また、公安省通達73/2024号でも、交通警察が秩序・交通安全に関するシステム、設備、データベース、ならびに都市交通路線上のカメラを通じて取締りを行うことが明確に規定されている。
ホーチミン市で31台のAIカメラを導入
2025年末時点で、ホーチミン市はディエンビエンフー通り、ボーティサウ通り、グエンティミンカイ通り、グエンフーカイン通り、ソーヴィエトゲティン通り、ハノイハイウェイなど、違反や渋滞、事故が多発する交差点・幹線道路に計31台のAIカメラを設置している。
AIカメラは何を検知するのか
ホーチミン市公安交通警察(PC08)のグエン・バン・ビン副部長によると、AIカメラは通常の監視カメラとは異なり、リアルタイムで画像を解析し、信号無視、車線違反、逆走、停止線不遵守など、複数の違反行為を同時に検出できる。
さらに、交通量の計測、渋滞の検知、ブラックリスト車両の識別といった補助機能も備えている。
運用開始以降、AIカメラによって検出された違反件数は7,198件に上り、主な違反内容は信号無視、車線違反、停止線不遵守、逆走であるという。
AIによる取締りは「人の確認」を経て実施
AIカメラによる違反処理は、発見から処分までを一体化したデジタル処理プロセスで行われる。
まず、カメラや市民からの通報アプリ「VNeTraffic」を通じて違反が検出され、国家データベースと照合して車両および所有者を特定する。その後、交通警察官が画像を直接確認・検証した上で、違反通知を送付し、法律に基づいて処分を決定する。
PC08は、AIカメラの導入により、従来の人手中心の取締りから、テクノロジーとデータに基づく管理モデルへと転換が進んでいると評価する。
「明確な映像証拠に基づき、警察官と市民の直接接触を減らし、誰に対しても公平に処理できる」とビン副部長は強調する。
事故捜査や治安維持にも活用
公安省交通警察局(C08)の交通管制センターでは、公安省傘下の部門が開発したAIカメラを使用し、違反取締りだけでなく、交通事故調査や治安維持にも活用している。
AIカメラは、車両の色、種類、ナンバープレートから走行経路を追跡し、事故前後の動きを再現することが可能である。また、顔認識機能を用いて指名手配者や不審者を識別し、異常行動や武器携帯、集団騒動などを早期警告する機能も備える。
公安省の計画では、全国34省・市に今後同様のAIカメラシステムを導入する方針である。
AIに全面的に委ねるわけではない
ビン副部長は、交通量が多く複雑なホーチミン市の特性を踏まえ、すべてをAI任せにはしない方針を示す。
将来的に導入予定の排ガス規制や、時間帯・路線ごとの大型車規制についても、車両停止による渋滞を避けるため、AIカメラでナンバーを自動照合する運用が想定されている。
ただし、「AIカメラが検出したすべての違反画像は、必ず人が再確認した上で処分を行う」とし、最終判断は人が担うことを明確にしている。
車を貸した場合、責任は誰が負うのか
交通警察によると、AIカメラはナンバープレートと違反状況を記録し、車両の名義人に通知を送付する。名義人は、実際に違反を行った人物が誰であるかを特定するため、当局と協力する責任があるとされている。
本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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