ベトナム首相論文が示す「経済外交」の新段階:歴史的節目から戦略的転換へ
ベトナムのファン・ミン・チン首相は、「民族の強い発展のために経済外交を力強く転換する」と題した論文を発表し、今後の経済外交の戦略的方向性を示した。第14回党大会に向け、政府と各部門・地方が決議具体化を急ぐ中での発表であり、経済外交が「道を開き、方向を示す」最重要分野であることを強調したものである。
2025年は独立80周年・統一50周年の節目
2025年は、民族独立から80年、国家統一から50年を迎える歴史的節目である。かつて国際社会で存在感が薄かったベトナムは、現在では国力・潜在力を高め、国際的地位と信用を着実に向上させている。新たな発展段階に入り、同国は不屈の精神と知恵を基に、より広い世界へ乗り出す姿勢を示している。
歴史を通じて外交が果たした役割
外交は、独立直後の国家防衛、統一のための闘争、包囲・禁輸打破、国際統合の推進といった各段階で、常に「危機の機会化」「困難の軽減」「局面転換」に貢献してきた。ベトナム戦争後の1970年代半ばには、経済外交を戦略的任務として位置付け、国の発展に寄与してきた。
ベトナム経済外交の深化:国際統合から新たな成長エンジン形成へ
1980〜90年代:政策助言と国際関係の正常化
ベトナムの経済外交は、1980年代には世界の発展モデルの研究を通じ、ドイモイ政策の策定に貢献した。また1990年代には包囲・禁輸の解消、国際金融機関との関係構築、外国投資誘致などで重要な役割を果たした。
1995年以降:国際経済統合の「開拓者」
1995年以降、ベトナムの経済外交は国際統合を切り開く中心的役割を担い、国家の姿を大きく塗り替えた。ベトナムの国際的役割・貢献は拡大し、新たな発展機会が生まれている。
世界情勢の不安定化の中でも達成された成果
直近5年間は世界情勢が不安定化したが、ベトナム国内では、マクロ経済の安定、外的ショック耐性の強化が進んだ。
2025年の経済規模は約5,140億USD、成長率は8.02%、一人当たりGDPは5,026USD に達し、中上位所得国入りを果たした。
ベトナムは外国投資誘致で世界上位15カ国、貿易規模で上位20カ国に入り、デジタル経済やICTはGDP以上の成長を示している。GII(世界イノベーション指数)でも同所得グループで首位となり、半導体・AIなど先端分野で突破口を開いた。
外交面では、経済外交と科学技術外交が際立った成果をあげ、FTA17本、外交関係194カ国、包括的パートナーシップ以上の枠組み42カ国 という広範な対外ネットワークが構築されている。
ベトナム経済外交の新段階:企業支援とイノベーション主導へ
最優先課題の明確化
ベトナムの共産党中央委員会は、今後の経済外交の重点として以下を掲げる。
- 成長エンジンの強化
- 戦略的バランスの確保
- 独立・自立経済の構築
- 国際的役割の向上
2025〜26年は「経済外交の新段階」とされ、実効性重視のアプローチが求められる。
新たな成長エンジンの拡大
戦略的インフラ、デジタル経済、グリーン経済、循環経済などへの重点投資を通じ、外資誘致・貿易拡大・サプライチェーン強靭化につなげる方針である。
「依存しすぎず、対立もしない」均衡外交
大国間競争が激化する中、ベトナムはどの国とも過度に依存せず、対立もしない戦略を維持し、多角的な供給網と市場を確保する考えである。
企業支援を強化、国内能力の底上げへ
ベトナムの経済外交は、外向きの市場開拓だけでなく、国内企業の技術力・競争力強化を後押しする役割 を拡大する。
市場情報の共有、投資誘致の仲介、技術協力、人材育成がより重視される。
科学技術外交の本格化
半導体、AI、再エネ、医療技術など戦略分野での国際協力を拡大し、R&Dや技術移転、人材交流を強化する。イノベーションが経済発展モデルの中核に据えられている。
全方位外交としての経済外交
ベトナムの経済外交は中央政府だけでなく、省・市、企業、研究機関まで多層的に関与する「全国家システム」の取り組みへと進化している。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
ベトナム進出支援LAI VIEN



















