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ベトナムで活躍する日系企業|
リーダーたちの構想第53回
花王ベトナム

1995年に進出した花王ベトナム。スキンケア、化粧品、生理用品、衣料用洗剤、ベビーおむつなど人気商品を発売する中、最近は化学品事業をスタートさせた。ピンクリボン活動など社会貢献活動と共に長谷川社長が戦略を語る。

2022年10月から化学品事業

―― ベトナム進出について教えてください。

長谷川 花王は現在、100の国と地域に商品とサービスを提供しており、エリアは大きく日本、アジア、南北アメリカ、欧州の4つに分かれます。アジアでは家庭品や化粧品全般、欧米ではビューティケア品やサロン品が主力商品です。

 アジアは1960年代にタイや台湾に進出し、ベトナムは最も遅くて1995年の設立です。当初はスキンケア「Biore」、ヘアケア「Essential」の2カテゴリーから始め、生理用品「Laurier」が加わりました。

 2000年代初頭は苦戦が続いて2005年にはヘアケア事業を撤退しますが、2008年頃から事業が上向き、2014年にベビーおむつ「Merries」や衣料用洗剤「Attack」を発売すると業績は飛躍的に伸長しました。

 その後は2018年に敏感肌ブランド「Curel」、2020年には温熱シート「MegRhythm」やスキンケア「freeplus」、2022年にはファッションヘアカラー「Liese」と、日本発の高付加価値ブランドを相次いで発売し、どれも好評を得ています。

―― 特に売れ筋の商品は何でしょうか?

長谷川 Biore、Laurier、Merries、Attackで売上の約85%を占めます。特にMerriesは並行輸入品の評判が良かったので売り出したところ、爆発的に伸びました。価格はやや高いのですが、ベトナム人は赤ちゃんや子どもにお金を惜しまないことと、日本品質の高さが支持されているのだと思います。

 アジアでのMerriesの売上は中国、インドネシアに続いてベトナムが3位と高く、通常ならタイや台湾が来る順位です。弊社への問合せで群を抜いて多いのもMerries関連です。

 また、新型コロナによる健康意識の高まりが、商品の売行きや販売チャネルに影響を与えています。ひとつはドラッグストアでの販売増です。特に目立つのはLaurierと腹部を温めて生理痛などを軽減できるMegRhythmで、2つをセットにした販売もしています。

 もうひとつはEC販売の急伸です。新型コロナ禍の2020年から増えて、今年は20年比で約579%の増加です。例えばMerriesはプレミアム商品として専門店やGMSで販売しているため、大都市以外では購入が難しい方もいたのですが、ECが習慣化したこともあってか注文が増えました。

―― 2022年10月から化学品事業を始めました。

長谷川 あまり知られていないのですが、花王は化学品事業を全世界で展開しており、連結売上構成比で約20%を占めます。売上は海外比率が高く、アジアでは中国、インドネシア、タイが大きいのですが、ようやくベトナムのタイミングが来ました。

 この事業には油脂事業、機能材料事業、情報材料事業の3本柱があります。油脂は洗剤やシャンプー、機能材料はコンクリートやアスファルト、情報材料はトナーやインクジェット、ハードディスクやレンズの研磨剤などの原材料です。

 機能材料は土木、建設関連なので当初は難しいと考え、まずは油脂と情報材料で進めるつもりです。販路としては日本でお取引のある企業のベトナム支社や今後進出される企業と、ベトナム企業や欧米系企業の新規開拓です。油脂なら欧米系の競合企業も候補になります。

 商品はタイからの輸入ですが、生産工場を作るつもりでいます。化学品は危険物も多いので特別な施設や許可が必要になり、現在のドンナイ工場ではない新工場を竣工するつもりです。時期は2025~2030年の間で考えています。

―― 大きなお仕事になりますね。よく決心されたと思います。

長谷川 経済が発展すれば化学品のニーズは一気に上がります。成長を続けるベトナムにはうってつけです。ただ、技術的な特徴がないと価格で負けてしまう世界であり、先行きの不安も当然ありました。

 話は変わりますが、主に日系企業のトップが集まる「サイゴン11」というグループがあり、私も参加しています。食品メーカー、日用品メーカー、医療メーカー、銀行、会計事務所などの方々と定期的に会合を設けています。

 実は迷っていた化学品事業を決断したのがこの場でした。皆さんと話して、ベトナムのネックであるインフラが整えば産業は一層成長する、原材料のB to Bビジネスに可能性があると感じられたのです。

ピンクリボン活動を社員と共に

―― 組織として新たに取り組んでいることはありますか?

長谷川 新型コロナを経て、お客様の意識や購買行動、市場や商流が大きく変わっています。商品の品揃えや商談の仕方だけではなく、社員の意識も大きく変える必要があります。

 ひとつがESG(環境・社会・ガバナンス)への意識付けです。ただ、言葉だけでは伝わらないので、社会貢献となるピンクリボン活動を今年から始めました。乳がんで苦しんでいる女性の方を支援する活動です。

 オフィスに乳がんの専門医を招いて、説明を受ける時には、男性社員も参加させました。また、新型コロナで不幸にも親を亡くした学生への授業料支援や、医療現場で大変な思いをしている医師や看護師の方に、社員が商品を直接寄贈する活動も行いました。

 自分の業績だけ考えていれば良いのではなく、社会貢献が循環すると自分の利益にもなることを伝えるのに、1年かかりました。新型コロナで助合いや支援の気持ちが高まったことも幸いしました。

 また、社員に社会貢献の意識を浸透させるには、社長が目で見てわかる具体的な行動を取ることだと思っています。そこで、「女性に寄り添い支える唯一の日用品メーカーになりたい」という姿勢を、ピンクリボン活動に大々的に協賛することで示しています。女性向けメディアや数多くの流通企業様と協働して、売上の一部を乳がんで苦しむ人の支援として寄付しました。

―― 今後の計画や予定を教えてください。

長谷川 ベトナムではコスメ市場はスキンケア化粧品が中心ですが、中国、台湾、香港、シンガポールなどではメイクアップ用が主流です。花王には多くの化粧品ブランドがありますので、今後の新ブランド発売は既に戦略に入っています。

 ベトナムの若い女性がマインドフルなホリスティックビューティー、環境や肌に有害でないクリーンビューティーに興味があることはつかんでいますので、高付加価値なヘルス&ビューティケア商品はチャンスがあると感じています。また、先の化学品事業を柱の1つにしたいと思っています。

 社会への貢献はピンクリボン活動に加え、子どもたちの衛生レベル向上として学校での啓発活動を徐々に始めています。手洗いや手指消毒から初潮教育までを商品を通じて、大学病院や行政と組んで加速させるつもりです。

 ベトナムは女性の有職率が74%と、アジアでも有数の女性が働く国です。働く女性、子育て女性、家族を支える女性がいつも楽しく、笑顔でいられるように、花王ベトナムは「女性応援カンパニー」として女性に寄り添いたいと考えています。

Kao Vietnam
長谷川尚一 Shoichi Hasegawa
大学卒業後、花王株式会社に入社。販売部の後、スキンケアやヘアケアの事業部でマーケティングを担当。中国・上海にマーケティング部長として赴任。帰国後の事業企画部を経て、2020年1月より現職。