―― 今年のテト(旧正月)はベトナムで過ごしましたが、ベトナムでは多くの家庭が、家の前にベトナムの国旗を一斉に揚げていることに驚きました。各家庭がテトにベトナムの国旗を揚げなければならないことを定めた法令でもあるのでしょうか。
フィンチー はい、あります。1956年に首相が国旗掲揚に関する決定を下し、その決定では、新暦の正月、テト、フン王の命日(旧暦3月10日)、国際メーデー(5月1日)、建国記念日(9月2日)等の祝日には、ベトナムの国旗を家の前に掲揚することが定められています。従ってベトナムでは1956年からこれらの祝日に、各家庭は家の前にベトナムの国旗を揚げています。
―― こうした祝日に家の前に国旗を揚げないと、罰則を科されるのでしょうか。
フィンチー ベトナムの法令では、「定められた祝日に家の前にベトナムの国旗を揚げない」という行為に対して罰則を科す旨を定める条項はありません。そもそも祝日に国旗を掲揚する行為は愛国心の表れであると考えているベトナム人が多く、ベトナム人は国旗掲揚を大切にし、一般的には祝日に自発的にベトナムの国旗を揚げます。
また、国旗が掲揚されるべき祝日の数日前には、各地域の自衛団等が国旗を揚げるようリマインドしたり、促すこともあります。その意味では法的な義務というより、愛国心に根ざした自発的な行為として捉えられているものと思います。
―― 面白いですね。今年は、フン王の命日は4月29日ですから、そろそろベトナムの国旗がまた一斉に家の前に揚げられる景色が見られますね。