ハノイ市に住む7歳のハンちゃんは、アリのような虫に触れたことで焼けるような痛みを感じ、その後水ぶくれができたので病院の診察を受けた。
国立皮膚科病院の医師は、診察の結果、やけど虫による重度の皮膚炎と診断した。子供がこすったりひっかいたりするとやけど虫の毒素が拡散し、より深刻な事態になる可能性がある。
別のケースでは、バーディン区に住む19歳のタインさんがやけど虫によって鼠蹊部に焼けるような痛みを感じた。この男子学生はやけど虫の被害とは気づかず、病院には行かずに家にあった薬を患部に塗ったため、症状が悪化し痛みがさらに酷くなった。国立皮膚科病院の診察を受けたタインさんは治療を受け、別の薬を処方された。
同様にハードン区在住のゴックさんは朝起きたときに頬にわずかな熱さを感じた。顔を洗い鏡を見ると頬に帯状疱疹のような赤い筋が見えた。ゴックさんは薬局で帯状疱疹の薬を買ったが効果が無く、傷はますます広がった。眼の近くまで広がって怖くなったゴックさんは、病院の診察を受け、やけど虫の被害であることが分かった。
過去3ヶ月間で国立皮膚科病院は、約900人の刺激性皮膚炎患者を受け入れており、そのうち50%近くがやけど虫による被害だった。医師によると、最近になって患者が増えているのは、今の時期がやけど虫の繁殖期にあたるからだ。この時期にはやけど虫が増加し、光を好む修正のために屋内に侵入し、衣類、タオル、ベッド、毛布の中に入り込む。これに気付かずにやけど虫の分泌液に触れてしまうと、皮膚が炎症を起こす。
「症状は人によって様々です。ある患者は軽症でしたが、別の患者では、擦れたり引っ掻いたりしたせいで傷が広がったケースもあります。」と皮膚科を担当するグエン・ティ・タイン・トゥイ医師は話す。
皮膚炎・アレルギーセンター病院108でもやけど虫の被害による患者を多数受け入れている。この病院のグエン・ティ・クイン・チャン医師によると、やけど虫の毒素に触れた場合の最初の症状は、かゆみ、灼熱感、皮膚の突っ張り感などだ。その後、皮膚が赤く腫れ、1~5mmの小さな水ぶくれが多数出現し、数日後には膿がたまる。
症状は線状に広がり、患者が引っ掻いたり擦ったりすると、他の部分にも症状が広がる。患者が勝手にヘルペスや帯状疱疹と誤解しているケースもある。重症の場合、軽度の発熱が起き、首、腋の下、鼠蹊部などのリンパ節に痛みを感じることがある。通常は1週間もすれば症状は無くなるが、黒い斑点が残り時間の経過とともに消えていく。
やけど虫は、1㎝の米粒のような細長い形で、赤と黒の縞模様が特徴だ。「この虫に触ったり押し潰したりすると毒性アミドのペデリンを含んだ体液を放出します。この物質が皮膚に付着すると線状皮膚炎を起こします。」とチャン医師は話す。
医師によると、やけど虫の患者が自己判断で薬を買って患部に塗ったために、症状が重くなって病院に来るケースが後を絶たない。
「やけど虫ではなく帯状疱疹にかかっていると誤解して、アシクロビルを購入して患部に塗ったり飲む人が結構います。このような対応をした場合、症状が拡大する可能性があります。」とトゥイ医師は話し、この毒液が付着した皮膚はどこでも炎症を起こすので被害がより深刻になるケースがあると付け加えた。
さらにトゥイ医師によるとやけど虫が病気の治療に役立つとの噂があり、積極的に捕獲しようとするケースがあるそうだ。このような患者たちは、捕まえたやけど虫をすり潰して患部に処方する。これは非常に危険な行為で、一部の患者は敗血症まで引き起こしている。
チャン医師は、やけど虫と接触した疑いがある場合は、きれいな水で患部を十分に洗うことを推奨している。目に入った場合は、0.9%の生理食塩水でよく洗い流す必要がある。
軽症であればステロイド軟こうを患部に塗れば自然に治癒する。患部が広い場合、水ぶくれが多い場合、全身に症状がある場合などは、抗ヒスタミン薬、抗生物質、コルチコステロイドなどを服用する必要がある。
患者が自分の判断で治療薬を購入することは避け、専門の医療機関で診察を受ける必要がある。適切な治療をおこなえば、通常は5~7日間で治癒する。
やけど虫の被害を防ぐためには、生活環境を清潔にし、木々や茂みをきれいにしておく必要がある。もし、住居の近くでやけど虫を発見した場合は、ドアの開閉を制限し、電灯の使用を抑え、防虫ネットを張るとよい。
衣服、タオル、毛布を使用する前に、それらを注意深く観察して振る習慣をつけた方が良い。やけど虫を見つけたら、落ち着いてそっと吹き飛ばし、決して捕まえたり叩き潰したりしないように気を付けなければならない。
出典:18/10/2022 VNEXPRESS
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